増田拓さんご自身とパラスポーツとヨガの写真

【増田拓さんインタビュー前編】メディカルトレーナーが語るパラスポーツとヨガ

これまでヨガジェネレーションを通して、読者の方に少しでも有益な情報を提供したいと思い、様々な記事を書いてきました。

今回は初めてのインタビュー記事です。日本車いすテニスナショナルチームトレーナーの増田拓(ますだ ひろし)さんにお話をうかがいました。増田さんと私は、現在も外来整形外科で一緒にリハビリ業務をしている仲間です。

身体のスペシャリストの視点から、ヨガやパラスポーツについてたくさん話していただきました。ぜひ最後までお読みください!

インタビューのいきさつ

増田さんにインタビューしたいと思ったきっかけは、増田さんの奥様が去年ヨガの資格を取得したことです。

奥様の資格取得を目指して頑張っている姿を見て増田さんも何か感じたことがあると思い、色々聞いてみたいと思いました。

あとは増田さん自身をもっといろんな人に知ってもらいたいというのもあります!(笑)

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増田拓プロフィール画像
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ありがとうございます。

増田拓さんの経歴と現在

理学療法士が患者の片脚を持ち上げている様子

理学療法士として複数の現場で活躍

まず初めに、増田さんが普段どんなことをしているのか教えてもらっていいですか?
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増田拓プロフィール画像
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普段は広島市内の外来整形外科で、地域の高齢者、スポーツをしている子供、一般の方に対して運動指導などのリハビリ業務を行っています。
外部でのトレーナー活動はどのようなことをされているのですか?
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増田拓プロフィール画像
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広島市内の大学サッカー部のメディカルトレーナーとして働いてます。

メディカルトレーナーの役割は、現場で起こる怪我やアクシデントの応急処置やリハビリ指導をすること。怪我予防やパフォーマンス向上のためのコンディショニング指導もしています。

大学サッカーの他にも車いすテニスのメディカルトレーナーとしても活動されていますよね。
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増田拓プロフィール画像
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車いすテニスでも同じようにメディカルトレーナーとして活動しています。

ただ車いすテニスの場合、障がいを持っている人が相手で、選手それぞれに障がいが違う。健常者スポーツとは違い確立された指導方法が無いため、必然的に個別性が高くなります。

選手1人1人に深く関わることが必要になるし、それぞれの基礎疾患や障害がい特性が違うので医療の知識がとても大事になります

スポーツの怪我が身体に興味を持つきっかけに

増田さんが現在の仕事に就きたいと思ったのは、どのようなきっかけからですか?
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サッカーをしていた学生時代に「高いパフォーマンスを発揮するためには良いコンディションを保つことが大事だ」と感じたのがきっかけです。

中学生の時に怪我をよくしていて、良いコンディショニングでプレイできない時期がありました。それで人間の身体のことを深く知りたいと思い、スポーツトレーナーの道を志しました。

中学生でそう思うってめちゃくちゃ早いですね!
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地元が大阪なのですが、当時新設されたばかりのスポーツ科学科がある高校に進学しました。人間の身体にについて学ぶ中でスポーツトレーナーには医療資格が必要だと感じ理学療法士の資格取得を目指して大学に進学しました。

理学療法士としてパラスポーツの世界へ

車椅子でテニスラケットを振り上げる人

理学療法士の資格を取得してから広島に働き始めたわけですが、パラスポーツにはどのようなきっかけで携わるようになったのですか?
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入社した当初は高校サッカーのスポーツトレーナーとして活動していましたが、さらにスポーツの幅を広げたい気持ちがありました。そこで、元職場の上司の勧めもあり、広島の車いすテニス大会で、理学療法士会が運営するボランティアトレーナーとして参加するようになりました。

ロンドンパラが終わったタイミングで車いすテニス協会がメディカルトレーナーを募集する話があり、本格的に車いすテニスのトレーナーとして活動していくことになりました。

ヨガにも通ずる情報蓄積の重要性

車椅子から立ち上がろうとする男性と手助けをする医師

現在パラトレーナーとして合宿に参加したり世界大会に帯同したりしていますが、どのような事が大変だと感じましたか?
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選手によって障害がいが違うので、個別性が高いことです。

健常者スポーツの場合、運動機能を評価するテストのデータがあったり、運動指導の教科書があったりする。ヨガも長い歴史の中で、先人達が今に伝えてきたベースがありますよね?でも、パラスポーツはそのようなベースがまだ完全に確立できていない。

健常者スポーツではデータベースを元に身体機能を評価できるけど、パラスポーツでは選手によって障害が違うから身体機能を評価できにくいと。
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そうです。だから未来の選手やパラトレーナーのために、自分達がデータベースを作っている最中なのです。これが中々大変ですが、やりがいを感じながら働けています。

日本のパラスポーツの課題と目指す所

車椅子で陸上競技を行う男性たち

日本のパラスポーツの今後の課題とは?
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日本と世界ではパラスポーツの見方は全然違います。

日本ではパラスポーツに「リハビリの延長」や「社会福祉」のイメージが強いですが、海外では社会全体がパラスポーツに関心があるし「プロスポーツ選手」として見ているんです。

日本でもパラスポーツを「プロスポーツ」として認知してもらいたいですね。

そして、まだ世間にあまり認知されていないため、関わるトレーナーが少ないことが課題です。

例えば、合宿や国内大会中に選手にアクシデントが起きた場合、私がいる広島に滞在していたら自分が選手の対応ができるけど、広島以外だとそうはいかない。「そこの地域なら◯◯病院に△△っていうパラスポーツのトレーナーがいるから受診して」という風にできたら良いのですが、まだそのネットワークが確立できていない。

だから、パラスポーツのトレーナーを増やし、選手が安心してプレイできる環境を作っていきたいです。

次回、インタビューの後編では、「【増田拓さんインタビュー後編】スポーツ選手とヨガの関係とは?」をテーマにお届けします。

【増田拓さんインタビュー後編】スポーツ選手とヨガとの関係とは?