芝生の上ひ敷いたヨガマットの上であぐらをかいて座る女性

ヨガの「あぐらのポーズ」は普通のあぐらと何が違う?膝が浮くなどのお悩みも解決

ヨガのあぐらのポーズは、数多くのポーズの中でも特に重要な役割を担っています。しかし、シンプルで動きが少ないあぐらに関して、他の派手なポーズよりも軽くとらえてしまっている方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、ヨガのあぐらと普段のあぐらの違いや、あぐらの基本ポーズと種類について紹介していきます。「膝が浮くなぁ」「なんだかしっくりこない」などの違和感を見過ごさずに、快適なヨガへ導いていきましょう!

一般的な「あぐら」とヨガの「あぐら」の違いとは?

自然の中であぐらで座る親子
ヨガの「あぐら」と一般的な「あぐら」の解釈に違いはある?

 
まずは、ヨガの世界とその他の場所での「あぐら」の解釈の違いについて、確認していきましょう。

一般的な「あぐら」を辞典で引いてみると

日常生活で「あぐら」と聞くと、ひと昔前でいう「お父さん座り」をイメージする方もいるかもしれませんね。

国語辞典によると、「あぐら(胡床・胡坐)」は以下のように解説されています。

あ‐ぐら【胡床・胡坐】
1. 古代の貴族の着座する床の高い台。あごら。
2. 腰掛け。腰をおろす板に脚をつけたもの。
3. 材木を組んで、高い所への足がかりとしたもの。足代(あししろ)。あなない。
4. (胡坐) 両足を組んですわること。また、そのさま。→あぐむ(足組)・あぐらをかく。
(一部抜粋:コトバンク「精選版 日本国語大辞典 胡床・胡坐の解説」)

一般的に使われる日本語の「あぐら」に関しては、具体的な座り方が定義されていません

また、「あぐらをかく」という言葉には、「楽にする」という意味に加え、「油断する」「いい気になって努力しない」などのややネガティブな意味も含まれています。

ヨガの「あぐら」はアーサナの集大成!たくさんの種類がある

一方、ヨガの「あぐら」は神聖なポーズとしてとらえられ、幅広い意味やたくさんの種類があります

ヨガのあぐらのポーズは、アーサナ※1の中でも非常に大切なポーズのひとつです。

  1. アーサナとは:ヨガの8つのステップのひとつ。座法、ヨガポーズ

そもそもアーサナとは、「瞑想に集中していくために、心地よく座り続けられる姿勢を作る」という意味があります。

つまり、ダイナミックに筋力を使うポーズも、静かにストレッチするポーズも、全ては「心地いいあぐらのポーズのため」といっても過言でありません。瞑想に向かう姿勢・あぐらのポーズは、ヨガのポーズの集大成なのです。

また、ヨガレッスンでは、「あぐら」というと「スカーサナ(安楽座)」をする場合が多いです。ただし、ヨガ流派やインストラクターによって、いろいろな伝え方やポーズが存在します。

あぐらの基本ポーズ・スカーサナ(安楽座)について

スカーサナ(安楽座)で座る女性
あぐらの基本!スカーサナ(安楽座)とは?

 
あぐらのポーズの基本となるスカーサナ(安楽座)について紹介します。

スカーサナの主な手順・方法

  1. お尻・坐骨を左右均等に床につける。
  2. 両かかとを身体の中央に並べる(強度普通)、または深く交差させる(強度弱め)。
  3. 腰~背骨~頭をゆるやかにまっすぐ保ち、手は膝の上へ置く。

インストラクターによっていろいろな言葉選びをしているので、しっくりくる方法を見つけてみてください。

スカーサナの主な確認ポイント

  • ニュートラルな脊柱(反りすぎない、丸まりすぎない)
  • 安定した骨盤(前後左右のバランス、坐骨の安定)
  • 肩の脱力(力まず丸まらず、ストンと落ちる所)
  • あごの位置(首の後ろがつまらないよう、あごを少し引く)

自己練習で感覚を研ぎ澄ませることと、他の人に客観的に見てもらってアドバイスをもらうことで、安定したスカーサナをとれるようになります。

「スカーサナが難しい・できない」という方の対処法

ヨガマットとプロップス
スカーサナ(安楽座)がうまくできないという方必見!
 

スカーサナで「太ももが痛い」「膝が浮く」などのやりづらさを感じたら、ポーズ強度を弱めたり、ヨガレッスンや自己練習で柔軟性や筋力を高めたりしていきましょう
また、半月板損傷など思い当たる怪我がある場合は、ポーズをお休みすることも大切です。

スカーサナのポーズの強度をゆるめる

  • 足のクロスを深める
  • 壁にもたれる
  • 補助具(ブランケット、ヨガブロック、クッション)をお尻や太ももの下に敷く

膝が浮いてつらい方は、お尻を足首より高くすると、お尻や太ももの緊張を和らげられます

柔軟性を高めるヨガポーズをおこなう

  • バッダコーナーサナ(合せきのポーズ)
  • シャーヌシルシャーサナ(片足前屈のポーズ)
  • キャットアンドカウ
  • アーナンダバラーサナ(ハッピーベイビーのポーズ)
  • ジャタラ・パリヴァルタナーサナ(ワニのポーズ)

余分な力を入れずにスカーサナをするために、お尻・股関節周り・太もも周りを中心にほぐすとよいでしょう。

筋力アップするヨガポーズをおこなう

  • マラーサナ(花輪のポーズ)
  • ブジャンガーサナ(コブラのポーズ)
  • パリガ―サナ(門のポーズ)
  • ヨーガ・ムドラーサナ(ヨガムドラのポーズ)
  • クラウンチャーサナ(鷺のポーズ)

長く座り続けるためには、それぞれのコンディションに合わせて腹筋・背筋などのバランスを整えることも大切です。

その他の坐位・あぐらのポーズ

ヨガマットの上にあぐらで座る女性
スカーサナ(安楽座)以外にもあぐらのポーズがある!

 
ヨガのユニークな点は、あぐらのポーズの仲間がたくさん存在すること。坐位のポーズの種類は、主に以下が挙げられます。

  • ヴァジュラーサナ(正座)
  • ヴィラーサナ(英雄座、割座)
  • スワティカーサナ(吉祥座)
  • シッダーサナ(達人座)
  • アルダ・パドマーサナ(半蓮華座)
  • パドマーサナ(蓮華座)

その中でも、「達人、賢人」の意味を持つシッダーサナや、「蓮華」を意味するパドマーサナは、ヨガをする人にとってのあこがれのポーズといえます。

どのポーズも足首や太ももの柔らかさを必要とするので、インストラクターに教えてもらいながら、怪我のないよう段階的に取り組んでみてください。

安定したあぐらで快適なヨガをしよう

あぐらで瞑想をする女性たち
ぜひ心地のいいあぐらのポーズを探してみてください

 
ヨガのあぐらには奥深い魅力と可能性がつまっています。また、心地のいいあぐらのポーズは1つだけではなく、人それぞれに異なります。

「ポーズが力んでいないか?」「本当に瞑想に向かえる姿勢か?」など、普段ヨガの前後にしているあぐらのポーズを丁寧に見直してみて、さらなる練習の気づきにつなげていただければ幸いです。

※ヨガのポーズは口伝で授かったり、流派のポリシーが反映されたりするので、教える先生によって多少異なる可能性もあります。ぜひ直接指導してもらえる方の言葉を大切にして、練習を重ねていってください

↓ブランケットを活用したい方は、MAY先生の「瞑想の座り方」がとても参考になります!