インド古典音楽巨匠グンデチャ・ブラザーズのお2人

インド古典音楽巨匠に聞く!ハタ・ヨガとナーダ・ヨガの関係

ヨガと音の関係について考えたことはありますか?

古典的なヨガでは音のエネルギーをとても重要視しています。そのためマントラを使った瞑想があったり、キルタン※1を行ったりします。

このように音を使ったヨガをナーダ・ヨガと呼びます。

今回は、音のエネルギーのプロフェッショナルであり、インド古典音楽の巨匠グンデチャ・ブラザーズのお2人にお話を聞きました。

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グンデチャ・ブラザーズのお2人は、ドゥルパド声楽※2のアーティストであり、インドのボパールにある Gurukul Dhrupad Sansthan という学校で沢山の生徒に指導を行っていらっしゃいます。

以前は兄の Pt.ウマカント氏と弟の Pt.ラーマカント氏のデュエットで活動されていましたが、ラーマカント氏が2019年に亡くなった後は、息子のアーナント氏とウマカント氏の2人で活動を続けていらっしゃいます。

ドゥルパド声楽は現代にまで続く最も古いインド古典音楽の様式です。ヒンドゥー教寺院で祈りとして歌われていた音楽であり、とてもエネルギーの高い瞑想的な音楽です。

  • ※1 キルタン:音楽に合わせて神々の名前を唱える。歌うヨガともいわれている。
  • ※2 ドゥルパド声楽:北インドのイスラム王朝の宮廷で発展した北インド古典音楽である、ヒンドゥースターニー音楽の1種。「ドゥルヴァ(繰り返し)」と「パダ(韻文)」から来ている。

ハタ・ヨガとナーダ・ヨガの関係は?

今日はインドで最も偉大な声楽家として知られるグンデチャ・ブラザーズのお2人にお越しいただきました。貴重な機会をありがとうございます!
永井由香講師プロフィール
永井由香講師プロフィール
ウマカント・グンデチャ氏
ウマカント・グンデチャ氏
ナマステ
アーナント・グンデチャ氏
アーナント・グンデチャ氏
ナマステ
今日はハタ・ヨガとナーダ・ヨガの関係を教えて頂きたいです!特にドゥルパド声楽はハタ・ヨガとの関係が深いですよね。
永井由香講師プロフィール
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ウマカント・グンデチャ氏
ウマカント・グンデチャ氏
ハタ・ヨガとナーダ・ヨガはとても近い関係にあるよ。ハタ・ヨガも信念をもっての力強い練習が必要だね。それはドゥルパド声楽でも一緒。

ハタ・ヨガが長期間にわたって1つの練習に集中するのと同じ方法で、ドゥルパド声楽でも1つずつの音(サレガマ※3)を練習する。

ウマカント・グンデチャ氏
ウマカント・グンデチャ氏
私たちの練習では、1つの音にできるだけ長くとどまる。その練習を毎日1時間は実践する。このロング・ノート練習がナーダ・ヨガ。それはハタ・ヨガそのもの。私たちは音に集中して、その音は乱れずに安定していないといけない。その時、私たちの意識は音の中心にとどまることになる。これがナーダ・ヨガ。

ヨガ・スートラの八支則では、1つの対象に意識を向けることをダーラナ(集中)と呼び瞑想の第1段階です。インド音楽でも同じことを行っているのですね。

ウマカント・グンデチャ氏
ウマカント・グンデチャ氏
ヨガ的な音楽はヒンドゥー教寺院で発展した。寺院でヨガ、瞑想をして、シャンティ(平和)になるように。

お寺で音楽の祈りを捧げて心を平穏にする。そんな体験をしたいです!

  • ※3 サレガマ:インド音楽におけるスケール。ドレミファソラシド。

ナーダ・ヨガとエネルギーの関係

あなたの音楽を聴くとすごくエネルギッシュになれます。音楽はそのようにプラーナ(生命エネルギー)やチャクラに働きかけるのでしょうか?
永井由香講師プロフィール
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ウマカント・グンデチャ氏
ウマカント・グンデチャ氏
ナーダ・ヨガの練習を行うことで音はブラフマーカマルから始まる。ムーラダーラ・チャクラ。

土台の部分のチャクラですね!
永井由香講師プロフィール
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ウマカント・グンデチャ氏
ウマカント・グンデチャ氏
その通り。ナーダ・ヨガの早朝練習で、エネルギーはムーラダーラからサハスラーラ(登頂)まで徐々に昇っていき、全てのチャクラが活性化する。

音階が高くなるごとに、上のチャクラに向かっていくのですね!
永井由香講師プロフィール
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ウマカント・グンデチャ氏
ウマカント・グンデチャ氏
その通り。音は低いところから登頂まで昇る。7つの音が7つのチャクラに関係している。

音とヨガの関係。ハタヨガで重要視されるナーダヨガとは

ナーダ・ヨガと心の関係

心との関係はどうですか?精神的にも効果を得られますか?
永井由香講師プロフィール
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ウマカント・グンデチャ氏
ウマカント・グンデチャ氏
良い質問だね!もちろん関係するよ。音楽には音の波動がある。波動というのは心に影響を与える。歌っている人、聞いている人は恩恵を与えられる。音楽の最上の目的は、心の平穏を手に入れること。心が平和になるから、眠たくなってしまうこともあるよね。心が完全に平和に休むんだ。
確かに!(練習しながらたまに寝ます。)
永井由香講師プロフィール
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ウマカント・グンデチャ氏
ウマカント・グンデチャ氏
それは身体にとっても大切だし、健康にとって必要。そして、瞑想にも繋がる

アーナント・グンデチャ氏
アーナント・グンデチャ氏
付け加えて良いかな?
ぜひお願いします!
永井由香講師プロフィール
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アーナント・グンデチャ氏
アーナント・グンデチャ氏
ドゥルパド声楽では心を1点に集中させる。息を吸ってから音を出すのだけど、それは呼吸に意識を向けているってことなんだ。呼吸が安定して、音が安定して、クリアな状態を生み出すためには、心を1点に集中させないといけない。
心が動くと音が動きますね。
永井由香講師プロフィール
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バーンスリー(横笛)でも息を吐きながら音を出すので似ています。音のクオリティか、呼吸のクオリティか、どちらに意識を向けるべきでしょう?
永井由香講師プロフィール
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ウマカント・グンデチャ氏
ウマカント・グンデチャ氏
ナーダ・ヨガでは先に呼吸に意識を向けなさい。音はその次。息を吸って、細く長く息を吐く、そしてその吐く息に音を乗せる。音はできるだけ細くて長い。それはアヌノマ・ビローマ、つまりプラーナヤーマそのものだろう。

そうなのですね!私がいつも聞いているウマカント氏の歌はとてもパワフルなのに、最低限の息でというのは驚きです。
永井由香講師プロフィール
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ウマカント・グンデチャ氏
ウマカント・グンデチャ氏
音楽はプラーナヤーマ。ハタ・ヨガでもナーダ・ヨガでも息を吸って、止めて、できるだけ細く長く吐く。音楽では吐く息に音を乗せる。同じだね。

ナーダ・ヨガの音楽は瞑想

ドゥルパド声楽の巨匠であるグンデチャ・ブラザーズのお2人にお話をお聞きしました。

音楽はもともとヒンドゥー教寺院で練習され、発展を遂げてきたというのが素敵だと思いました。

音楽は実践者にとってはプラーナヤーマでありながら、聞く人の心にも平和をもたらしてくれるものです。音楽と祈りについては以前私のグル(師)からもお話を聞け、インドの音楽がエンターテインメントを超えたスピリチュアルな実践であることがうかがえます。

クリシュナ神の生まれ変わり!Pt.ハリプラサード・チョウラシアとの対話〜Part1〜

音に意識を向けるナーダ・ヨガはハタ・ヨガの教典でも詳しく書かれていますが、実践されている方からお話を聞けてとても勉強になりました!

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