腰痛のイメージ図

その腰の痛みは「脊柱管狭窄症」かも?症状とヨガでの注意点を解説

脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)は、腰椎椎間板ヘルニアに次いで多い腰部の疾患です。

長くヨガの指導をしていたら腰椎椎間板ヘルニアと同様に脊柱管狭窄症を患った方に一度は会うはずです。なぜなら脊柱管狭窄症である患者の数は500万人以上といわれているからです。

今回は、そんな脊柱管狭窄症の症状やヨガでアーサナをする際に気をつけるべきことを解説します。

こちらの記事で腰椎椎間板ヘルニアについても解説しているので、あわせてご覧ください。

ヨガを指導する際に知っておきたい「腰椎椎間板ヘルニア」の症状と注意点

脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニア

脊柱管狭窄症は加齢による変性が主な原因としてあり、50歳から増え始め、60歳〜70歳の方に多く見られる疾患です。一方で腰椎椎間板ヘルニアは、20歳〜40歳に多いといわれています。

ヨガをよくする人の年齢層から考えると、腰椎椎間板ヘルニアを患った方と出会う方が確率は高いかもしれませんが、シニアの方に指導する機会がある方は、脊柱管狭窄症についても知っておいて損はありません。

高齢の方の中には「脊柱管狭窄症で落ちた筋力や体力を取り戻したい」、「脊柱管狭窄症の再発を予防したい」といった理由でヨガを始める方もいらっしゃいます。

そんな方がヨガのクラスを受講される場合は、安全に参加できるよう病態や症状を理解し、サポートできると良いでしょう。

脊柱管狭窄症の病態と症状

脊柱管狭窄症と健康的な背骨の比較

脊柱管狭窄症は、前述のとおり加齢による変性が主な原因です。背骨には「脊柱管」という神経の通り道があります。この神経の通り道が、椎間板や背骨の変性、背骨を通る靭帯が厚くなることで狭くなり、神経が圧迫されることで症状が出ます。

そのため、身体を反らす(脊柱伸展)と神経が圧迫され症状が強くなります。逆に身体をかがめるような姿勢にすると神経の圧迫は弱くなり症状は軽減されます。また、脊柱管狭窄症の特徴的な症状として「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」があります。

間欠性跛行とは、神経が圧迫され血流が悪くなり、長時間歩くと下半身に痺れが出てきて歩けなくなることです。少し休めばまた歩けるのですが、一定時間歩いたらまた症状が出てまた休んで…を繰り返すようになります。

身体を伸ばして歩くことで神経が徐々に圧迫され症状が出るので、椅子に座ったり、身体をかがめた姿勢で休むことで圧迫が軽減され症状が緩和します。他にもお尻から下肢にかけて痺れが出て、腰部自体はあまり症状が出ないなどのケースもあります。

もし参加者の方に間欠性跛行のような症状を訴える方がいれば一度整形外科の受診を勧めても良いでしょう。

このように歩行に支障が出ることから「再発予防のために柔軟性や筋力をアップしたい!」、「体力が落ちたので持久力を戻したい!」と考えてヨガに参加するシニアの方が多くいらっしゃいます。事前に症状やヨガの目的を聞いてからレッスンするようにしてあげてください。

注意すべきアーサナと効果的なアーサナ

まず注意が必要なアーサナは後屈系のアーサナです。無理に脊柱を伸展すると神経が圧迫され、症状が強くなる可能性があるからです。コブラのポーズや弓のポーズなどの脊柱を強く反らすアーサナは注意しましょう。

効果的なアーサナは、ガス抜きのポーズです。寝た状態で行い脊柱を丸めるポーズなので安全で効果的なアーサナといえるでしょう。

脊柱管狭窄症にとって注意すべきアーサナと効果的なアーサナ

もう1つは三日月のポーズです。三日月のポーズも後屈系のアーサナでは?と思った方もいるかもしれませんが、股関節の前面を伸ばすことがポイントです。股関節の前面が硬いと骨盤が過度に前傾してしまい、骨盤の前傾に伴い腰椎が前方に引っ張られ伸展してしまうからです。こうなると真っ直ぐ立つだけでも反り腰になってしまい、腰の神経を圧迫してしまいます。

三日月のポーズをする時には、身体は反らさず真っ直ぐに保つことを意識します。股関節前面を心地よい位置にキープしストレッチすることで、脊柱管狭窄症に効果的なアーサナになります。

今回は、脊柱管狭窄症について解説しました。脊柱管狭窄症について知り、安全にレッスンができるようにしましょう。