水と体と食の関係

水と体と食の関係

ノドが渇くってどういうこと?

「ノドが渇いて水が飲みたい」。そう感じる時、体の中ではどんな変化が起きているのだろう。「渇いた」という感覚からノド元だけの部分的な感覚だと思いがちだが、実はそうではない。それは体全体の2%の水分が減っている時のサインなのだ。

人間の体の水分は体重の60〜65%。そのうちのたった2%なんて微々たる変化だと思うかもしれないが、その渇きによって体内の血液はドロドロの状態になっている。

血液が体の隅々まで酸素と栄養素を行き渡らせるためには、サラサラとスムーズに流れる状態を保ちたい。そのためには、ノドの渇きを感じることがないほどにこまめな水分補給が必要なのだ。

効率のいい水分補給の方法は?

人の体が水分を吸収できるのは、30分間に180〜200ミリリットル程度。ノドの渇きを感じたからといって、あわてて水を飲んでも30分程度は血液まで届かない。そこで有効なのは、先手を打って水分補給をしておくこと。

ヨガをする前など、汗をかき、ノドが渇くことが見込まれる時は前もって水を飲んでおこう。大量の汗を流す場合には、15分に1回のペースで20ミリリットル程度水を取るのがオススメ。血液の質を保つことで、より気持ちよくヨガができるようになるだろう。

また、特に目立った汗をかかなくても、尿や呼吸から一日に約2.5リットルもの水分が排出されている。常に減っていく水分をうまく補いながら潤いのある体を保とう。

老化と水分の関係は?

体内の水分量の割合は胎児で約90%、新生児で75%、成人になると約60%になると言われている。細胞の体液(水分)が減っていく老化は、まさに乾燥のプロセスとも言えるだろう。

また、体内の水分は脂肪よりも筋肉のほうが多いことから、体内の水分量の減少は筋肉量の低下とも捉えることができる。

水の硬度と料理の関係

カルシウムとマグネシウムの濃度が高いほど水の硬度は高くなる。水の硬度により、その飲み心地に差があるだけではなく、料理や飲み物を作る時にも重要な鍵となる。

例えば、関東の水は関西の水よりもやや硬度が高め。そのため関東ではより長い時間をかけないとダシの旨味成分が出ない。よって長時間かけてダシを取る関東の料理は濃味になり、関西では薄味の料理が発達した。

だから調理法のみ忠実に再現しても、硬度が違えば味わいが違ってくる。
また、緑茶や紅茶などの飲み物をいれる時にも最適な硬度がある。

緑茶に含まれる渋み成分・タンニンは軟水のほうが渋さや苦さが出やすい。タンニンの働きを引き出し、渋みを楽しむなら軟水、抑制することで渋さを抑えた甘いお茶にしたいなら硬水を選ぶといいだろう。

紅茶の場合は少し複雑で、産地やブレンドの方法によって理想的な硬度が変わってくる。例えばイギリス直輸入の茶葉なら中硬水でいれたほうが、渋みが出ず、おいしくいれられる。理由はイギリスの水が中硬水だから。アッサムティーなどの場合も中硬水がいいだろう。

無味無臭に思える水だが、料理や飲み物を作る上で、実はとても重要な役割を果たしている。その土地の味はその水があるからこそ生まれ、発達したもの。水の違いを、飲み物や料理でも楽しんでみては?

教えてくれた人=山中亜希
ミネラルウォーターの価値や正しい情報を提供するアクアソムリエ。ミネラルウォーター専門店『AQUA STORE&BAR CONCEPT』ディレクター。

文=Yogini編集部