お腹を締めることで姿勢を改善する。ウディヤーナバンダの効果を解剖学的に解説

お腹を締めることで姿勢を改善する。ウディヤーナバンダの効果を解剖学的に解説

ヨガでは「バンダ」と呼ばれる身体の各部位を締める動作があります。

  • のどを締める「ジャーランダラバンダ」
  • お尻を締める「ムーラバンダ」
  • お腹を締める「ウディヤーナバンダ」

があり、目的としては身体の中のプラーナが抜けないようにするためです。このバンダですが解剖学的に見てもとても有効です。今回は「ジャーランダバンダ」と「ムーラバンダ」に続き、「ウディヤーナバンダ」の解剖学的見地からの、体への働きかけを見ていきたいと思います。

ジャーランダラバンダの効果を、解剖学的に解説!

ムーラバンダの効果を、解剖学的に解説!

どこの筋肉が動く?ウディヤーナバンダの動作を理解

  1. 腰幅に足を開いて立ちます。膝を少し曲げて両手をふとももの上に置いて前かがみになります。
  2. 尾骨を内側に入れるようにします。そこから息を完全に吐き切ります。
  3. あごを引いて首を安定化させます。腹部を胸郭方向に引き上げて胸郭を広げます。そして、苦しくならない程度に息を止めます。
  4. 一気に息を吸わずにゆっくりとバンダを緩めながら腹部に空気を送ります。

これを5回繰り返します。

ヨガ上級者になると左右のお腹を交互に引き締めたり、腹直筋が盛り上がって見えるようになるまで強く引き締めることができます。慣れていない方は座った状態で行っても構いません。呼吸に合わせてお腹を締めたり緩めたりする練習から丁寧に行うとよいでしょう。

姿勢改善!内臓機能&循環機能も向上

姿勢改善!内臓機能&循環機能も向上
「ウディヤーナバンダ」は腹筋を使う

お腹を締める「ウディヤーナバンダ」は、腹筋を使います。腹圧の記事でも書きましたが、お腹を締める際には腹横筋や横隔膜を使います。こうして腹横筋や横隔膜を意識的に動かせるようになると、腹圧コントロールが行えるようになります。腹圧が上がると…

  1. 姿勢、動作の安定性向上
  2. 内臓の機能向上
  3. 循環機能の向上


…といった効果が期待されます。

ヨガの健康増進効果を倍増させる、腹圧の高め方

解剖学的に紐解くウディヤーナバンダとムーラバンダの連動性

お腹を締めるウディヤーナバンダですが、実はお尻を締めるムーラバンダとも関係性があります。それを感じるために、次の動作をしてみてください。

  1. 楽な姿勢でいいので好きな坐法で座ってください
  2. お腹を薄くするようなイメージてお腹を締めていきます。

Check!
軽い力では姿勢は変わりませんが、お腹を強く締めれば締めるほど身体は丸まっていくのがわかると思います。腹筋には身体を丸める脊柱屈曲の作用があるためです。

ムーラバンダとの動作比較

次に、お尻を締めます(ムーラバンダ)。軽く締めるくらいでは姿勢は変わりませんが、強く締めると骨盤が後ろに倒れていきます。

Check!
お尻を締める動作には骨盤を後ろに倒す作用があります。ちなみに骨盤底筋群はお尻を軽く締めると働き、強く締めると違う筋肉が働きます。

このように骨盤を後ろに倒す動作でも、ウディヤーナバンダ時同様に身体が丸まるのがわかると思います。それは、腹筋と骨盤底筋群は協調して働くからです。

ちなみにこれと反対の身体を反らしたり、骨盤を前に倒すときに発動するのが、腰部多裂筋と横隔膜です。

つまり身体を丸めたり、反ったりする動きを解剖学的に見ていくと……

  • 身体を丸める:腹筋-骨盤底筋群
  • 体を反らせる:腰部多裂筋-横隔膜

といったように、まるで陰と陽の関係のようにうまくバランスをとっているんですね。これらの筋肉が働くことで骨盤周囲や腹部周囲が安定し、姿勢全体が安定してくるのです。

ウディヤーナバンダで刺激する“腹部周辺”は、医学的にも“生命力の要”

古来、世界各地で人々は生命エネルギーを「気」、「プラーナ」などと呼び、意識してきました。生命エネルギーを意識する時、必ず腹部が関わってきます。

解剖学的観点から見ても腹部周辺が安定することで姿勢全体が安定し、内臓機能・循環機能が向上することが明らかですから、とても理にかなっていることがわかります。

教典『ヨガ・ストーラ』の一節に「坐法は安定して快適なものでなければならない」と記述してあります。

安定して快適な坐法を獲得するためにもウディヤーナバンダ、ムーラバンダは欠かせません。バンダは通勤電車やデスクなどどこでもできますので時間がある時にチャレンジをして安定して快適な坐法を手に入れましょう。