ヨガ上級者でもアーユルヴェーダビギナーのあなたへのヒント

いつもより15分だけ早く起きてみませんか?

アーユルヴェーダでは、一日の時間帯にもドーシャ(性質)があると考えます。朝の2時から6時までがヴァータ(風と空)の時間。この時間に起きるとさわやかに目覚められるとされています。一方、6時からはカパ(地と水)の時間帯になるため、体が重く、動きが鈍くなります。なので6時以降に起きて、テキパキ動けないのは自分のせいではなく、そういう時間帯だから仕方ないのかもしれません。

そこで試してほしいのが、いつもよりは15分早く起きること。ハードルをあまり高く設定しないことも、続けるために大切です。それがヴァータの時間でなくても、15分早く起きることで、それまでよりは15分ヴァータに近い時間に起きたことになります。それでいいのです。大事なことは、こうしなくちゃ、と決めつける意識を手放すこと。

もし起きられなくてもOK!

15分ヴァータに近づいた時間に起きて、その15分を使って自分なりの小さなルーティーンを続けてみる。それはストレッチでも、太陽礼拝でも、好きなお茶やコーヒーをいれてゆっくりするのでもいいでしょう。きっとその後の一日はとてもハッピーなものとなります。

もし起きられない日があったとしても、自分を責めてクヨクヨする必要はまったくありません。その日の朝は自分の体にとって眠りが必要だったのです。

明日のために夜したいこと〜サンカルパ〜

心身ともに爽やかに目覚めるためには、夜の眠る体勢に入った後の時間が重要です。人は、眠りに入るウトウトした時に、潜在意識の関門が開きます。関門の中に言葉を伝えると、残存印象が記憶に組み込まれ、その残存印象から思いが生まれます。そして行動が起こるのです。

その潜在意識の関門が開く時に「今日は有意義な一日だった。明日はいい一日を過ごすために15分早く起きて、自分のためにエクササイズをします」と、心の中で言ってみましょう。これを(時間は関係なく)サンカルパと言います。

サンカルパは「自分への誓い、信念」などと言われています。目標を達成するための行動を、言葉にすることを意味します。今日を肯定した後、明日を現在形の言葉で「こんな行動からスタートする」など、明日の願望を述べます。その言葉が潜在意識に作用して、思いを作り、翌朝のハッピーな寝起きに大きな影響を与えます。

寝る間際には一日の後悔を手放して

眠る前のサンカルパが、意識が目覚める時に果たす役割は大きいです。逆に寝る間際まで、後悔や不安を感じていると、それもまた潜在意識に作用して、そのモードのまま朝を迎えることになってしまいます。そのためにも、一日をリセットさせるサンカルパを取り入れるのはオススメなのです。

布団に入ったらシャヴァーサナ(屍のポーズ)をして、眠りが近づいて来たらサンカルパを行う。それはそのままヨガニドラー(眠りのヨガ)になります。そうすれば深い眠りを得ることができ、朝には体も心もすっきりと起きることができるはずです。

ヨガをしているとよく聞くアーユルヴェーダ。なんとなく敷居が高く、生活に取り入れるのは難しいのでは? と後回しにしがちですが、一日の始まりと終わり、少しアーユルヴェーダの知恵を借りて豊かな毎日を過ごしましょう。

 

文=Yogini編集部 イラスト=macco
出典:『Yogini』vol.58 /「アーユルヴェーダは生き方の科学です 第19回」

教えてくれた人:西川眞知子
日本ナチュラルヒーリングセンター代表。アーユルヴェーダプロデューサー。大学時代にインド、アメリカなどを歴訪し、ヨーガや自然療法に出会う。それらの経験と研究を基に「日本ならではのアーユルヴェーダ」を提唱。体質別健康美容法を提案し、独自の簡単生活習慣改善プログラムを構築。