キッズヨガ講師片岡まり子先生から学ぶ、子育て術vol,1

キッズヨガ講師から学ぶ、ヨガ哲学を活かした子育て術vol.1

はじめまして。片岡まり子と申します。大阪でえびすヨガスタジオを主宰しており、ヨガジェネレーションでは、『キッズヨガ養成講座』『子どものためのプラーナヤーマ集中講座』などを担当。

また保育士の専門学校で、総合福祉を学んだ経験を生かし、子どもだけでなく、マタニティから産後、さらにシニアの方を対象とした活動もしています。

そしてこの度、保育士としての視点で、ヨガのコラムを書くことになりました。読者のなかにも、子育てをしている方が多数いらっしゃると思います。

そんな子育てヨギー&ヨギーニの支えになる、ヨガ哲学と保育理論から見えてきた、子育てがぐっとラクになるアイデアをお届けしたいと思います。

“待つ”ことから始めよう

子供達が自由に遊んでいるところ
子どもがヨガをやらなくなった場合、ヨガに興味がなくなったことのサイン

第1回目のテーマは、“待つ”ことについて。子どもがなかなか話を聞いてくれないとき、ついイライラしてしまうことってありますよね。そんなときに、子どもが言うことを聞いてくれるまで“待つ”というのは、難しいことでしょう。

けれど、なぜ子どもがいうことを聞いてくれないのか。わがままに思えるような行動をとるのか。その理由を知ることで、待つことが苦ではなくなるかもしれません。

キッズヨガ養成コースでも、まず、子どもの発達に応じた適切な関わり方を具体的に学んでいきます。そこでもお伝えしていることですが、例えば、突如子どもがヨガをやらなくなった場合、それはヨガに興味がなくなったことのサインです。

そして興味のない事には耳を傾けなくなるのが、子どもというもの。

では、再度興味を持ってもらうにはどうしたらいいのでしょうか。無理やり言葉で言い聞かせてもうまくいきません。

親や先生が、子どもの状況や心模様を配慮せず、大人の都合ばかりを言う。逆の立場になって考えてもると、なんだか押し付けられた気になり、反抗したくなる気持ちも分からなくはないですね。

そのときにもっとも摩擦なく、解決へとスムーズに導けるのが“待つ”ことなのです。

とはいえ、なかなか冷静に待てない、と感じる人もいるかもしれませんが、次のことを意識すると、徐々に冷静に向き合えるようになりますよ。

はやる気持ちを抑える

つい子どもの問題を指摘したくなる。それはもしかしたら、指摘する部分だけフォーカスしている。あるいは、早く相手を変化させたいという気持ちが強すぎるのかもしれません。

でも、本当に子どもとの関係を良好にしたいなら、まず自分自身のはやる気持ちに“待て!”と言い聞かせる練習を意識的にすることが大切です。継続するうちに、子どもから本音を言ってくれるのを、冷静に待てるようになります。

待つだけで、子どもは話を聞いてくれるようになる

片岡まり子先生が子供達に話をしているところ
“待つ”ということで、子どもは自分に関心を持ってくれている、と安心感を覚える

それだけで、子どもは、自分のペースを大切にしてくれている、自分にちゃんと関心を持ってくれている、と安心感を覚えるようになります。

子どもの心が落ちつくと、会話も格段とスムーズになりますし、何よりも、子ども自身が、こちらの言葉にもちゃんと耳を傾けてくれるようになります。

ただ、これも一度だけトライするだけでは、なかなか実現しないもの。私自身の幼少期を振り返ってみると、子どもに寄り添う子育てというものが主流ではなく、基本的には親の言うことに従うというのが当たり前の世の中。

その風潮は、いまでも根強いと思います。そうした意識が、子どもの頃から染み付いていると、子どもを“待つ”ということが、なかなかスムーズにはいかないものです。

特に忙しい日々を送られていると、子どもとじっくり向き合う余裕はない! と、待つことを理想論と感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。

だからこそ、まず意識をすることが大切なのです。最初からうまくいくことの方が稀ですから、自分自身にもおおらかになり、無理せず、ご自身のペースで実践してみてください。少しずつ、できるところからで構いません。

気づくと、今までは1日のうちに10回怒っていたのが、9回になり、そして5回になり……。継続するうちに、子どもとの摩擦が格段と減っていくことでしょう。

イメージトレーニングもおすすめ

子供達がキッズヨガをしているところ
ヨガも子育ても「うまくいかなくても、諦めずに継続し続けること」が大切

また、他の人たちの関わり方を学ぶことも役立ちますよ!子どもとの関わり方が上手な人を観察して、メモを取る。そして、何度もその様子をイメージすることで、子どもとのコミュニケーションの能力が上がることもあります。

じつは私自身、かつては子どもが本当に苦手で、保育士の資格を取得するのにものすごく苦労をしたんです。なぜ保育士の学校へ行ったのかと言うと、母親から言われるがままに進路を選んだことにあります……。ですから入学してからは、まさに地獄の日々。

特に、保育実習では緊張の連続でした。そんな私の子どもへの苦手意識の克服に役立ったのも、このイメージトレーニングだったのです。

これが突破口となり、コミュニケーションが本当に楽しくなり、待つことへの理解も深まりました。そうした経験があるからこそ、今があるのだと思います。

アビヤーサ(繰り返しの練習)は長い時間途切れることなく、自然にできるようになるまで誠実な気持ちで続けることです

(ヨガ・スートラ1-14)

うまくいかなくても、諦めずに継続し続けること。結果を急がず、ゆったり構えて、時には回り道を楽しみながら、前進していくことがヨガにおいても、そして保育理論においても大切なことなのです。

結果ではなく、プロセスに、まず意識を向けてみてください。

参考資料

  1. 『やさしく学ぶYOGA哲学 ヨーガスートラ』向井田みお著、2015年、アンダーザライトYOGA BOOKS

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