怪我せず安全にヨガを続けてもらうために!インストラクターに求められるアーサナの修正&補助方法

怪我せず安全にヨガを続けてもらうために!インストラクターに求められるアーサナの修正&補助方法

ヨガ教室に通い始めたばかりの人や、ヨガ愛好家が練習を行う際に必ず出てくる問題があります。それは身体の一部に痛みが生じる、あるいは柔軟性や筋力の低下からアーサナが上手く行えない、といったものです。

ヨガに慣れている人は練習を重ねることで自ずと解決できるでしょう。しかし、ヨガ初心者の方、特に怪我の既往歴がある人の場合、安全に効果的なアーサナを覚えることが大事になります。

インストラクターは、そんな一人ひとりの実力や体の状態を見極めながら、丁寧にサポートすることが求められます。本来であれば、できないアーサナがあれば中止するのが理想かもしれません。しかし、スタジオ内の一体感から、生徒さんは頑張りたいという意欲が高まっているでしょうし、インストラクターも、できれば一人ひとりのモチベーションを最優先にしたくなるものです。

つまりアーサナの修正はヨガインストラクターにとって1番腕が試される場面になります。今回は、そんなアーサナの修正方法についてご紹介します。

可動範囲内でのアーサナを指導

身体の関節には、それぞれ正常な可動域があります。膝関節であれば屈曲130°、肩関節なら屈曲180°というように、関節ごとに正常な可動域が日本整形外科学会で制定されているのです。ただ、加齢や怪我による関節の変形、筋肉の柔軟性低下により関節可動域が制限されることも……。

このような方に強制的にアーサナを指導すると本格的な故障を招く恐れがあります。ポイントは相手の関節可動域を見極めてその関節可動域内でアーサナを行ってもらうことです。

例えば、膝の屈曲可動域に制限がある人に金剛座(正座)を強制したら当然、膝を痛めてしまいます。そのような人には無理に金剛座を指導するのではなく、安楽座など比較的可動域を必要としない姿勢へと促します。

また、肩関節の屈曲可動域に制限がある人に、三日月のポーズように手を高く上げるアーサナを指導する際は、できる範囲で手を上げてもらうよう注意してください。無理に手を高く上げると、肩だけではなく、肩関節の動きを補完する腰へも負担をかけてしまう可能性があります。

ただ、筋力不足で手を高く上げられないというケースもありますので、上手に見極めて指導することが求められるでしょう。

ヨガで怪我をする原因は、恐らくインストラクターが参加者の関節可動域の許容範囲を大きく超えるアーサナを強制することにもあると思います。

道具を使って、無理なくレクチャー

怪我せず、安全にヨガのレッスンを受けてもらうために、インストラクターが生徒さん一人ひとりの身体の状態を見極めるとともに、アーサナを補助する道具をうまく活用することも有効です。

ブロック

ブロックを使ってアーサナを補助する
ブロックを使ってアーサナを補助する

ヨガで使う道具として広く使われているのがブロックです。深い前屈のポーズ、三角のポーズのような身体を倒すアーサナや半月のポーズのバランスも必要になるアーサナのサポートをしてくれます。ブロックがあることで柔軟性や筋力低下がある人も比較的安全にアーサナを行うことができます。

タオル

使い方によってタオルもアーサナを補助する役目があります。牛の面のポーズは肩関節の可動域が必要なアーサナですが、可動域制限や痛みがあると背中で手を繋ぐことが難しくなります。背中をゴシゴシ洗う時のように、タオルの端と端を持つことで肩関節へのストレスを軽減することができます。

また、足関節が硬くてしゃがみ込むことが難しいという方もおられます。椅子のポーズは足関節、膝関節、股関節が協調して動くことでポーズを完成させますが、足首が硬いと重心を深くした際に足関節が動かないために膝関節にストレスが加えることがあります。

このような時はタオルを折りたたんで少し高さを作り、踵をタオルの上に置き、つま先は地面に落として椅子のポーズを行います。そうすると比較的容易にポーズを行うことが可能になります。

同様に腱鞘炎や骨折の影響下で四つ這いなど手を床につくと手首に痛みが出る人はタオル使うことでサポートできます。タオルを折りたたんで高さを作り、手の掌底部分をタオルに置き、指先は床に落とします。

こうすることで手首に荷重した時のストレスを軽減することができます。足関節も手関節もどちらも背屈可動域制限がある人に有効な修正方法と言えます。

長さ1メートルほどの棒を使用します。使用目的は主に脊柱のアライメント修正です。脊柱のアライメントは自分の目では見えないので1人ではアライメント修正をするのが難しいです。ポイントは背中の触覚を利用することなのですが、棒を用いてアライメントを修正します。

やり方は至ってシンプル。棒を背中越しに掴み、脊柱に沿って棒を背中に当てます。この時、後頭部、背中、仙骨の3点に棒が当たるようにするとします。1ヶ所でも身体が離れているとそれは身体が丸まっているか、反れてしまっているということ。

この状態で色々なアーサナを練習してみましょう。イスのポーズ、英雄のポーズI,IIIなど脊柱のアライメントを崩さないことがポイントになるアーサナで行います。他にも棒を支えにしてバランス系のアーサナを行うことで補助の役割を果たしてくれます

今回、紹介したアーサナの修正・補助方法はあくまでも一部です。経験を重ねると、その場で瞬時にオリジナルの修正・補助方法が出てきます。その為にも、相手の様子を見る観察力と相手に適した修正・補助方法を発想する柔軟な思考が必要になります。