酷暑でエネルギー・レベルが低下?効果的なヨガのポーズは

酷暑でエネルギー・レベルが低下?効果的なヨガのポーズは

暦のうえでは秋とはいえ、まだまだうだるような暑さが続いていますが、そんな暑い日に外出すると、すぐに疲れてしまったり、だるくなったりすることがありますよね?起きているのが辛くなるほどの場合もあるでしょう。こうした状態になるのは、なぜなのでしょうか?

アメリカの科学雑誌「サイエンティフィック・アメリカン」の記事によると、暑さによって倦怠感がもたらされる理由は、単純なものです。体温を下げるために、体が「一生懸命働いている」からなのです。

暑い日、私たちの体は通常の温度を維持するために、いくつかの調整を行っています。たとえば、暑くて顔が赤くなっていたら、それは皮膚のすぐ下の血管が拡張し、血流が増えているからです。温まった血液が皮膚の表面に近い血管を流れるようにすることで、熱の放出を促しているのです。

また、体は暑いときには、発汗によっても皮膚の温度を下げようとします。汗が蒸発するときに、皮膚の表面の温度も低下するのです。さらに暑い時期には私たちのほとんどが、汗をかくことでわずかながら脱水状態に近づいています。疲労は脱水状態のときに現れる症状の一つでもあります。

疲労感=体が発するエネルギー低下のサイン

このように体が余計に働かなければならないことは一方で、心拍数を引き上げ、体温と基礎代謝率を上昇させます。それが疲労感をもたらすのです。そして、そのようなエネルギー・レベルが低下した状態を、長期間そのままにしておいてはいけません。恒常的な疲労感は心身の活動レベルを低下させ、認知機能を阻害し、全般的な生活の質を悪化させることにつながります。

よくある疲れとは異なる疲労感の場合、心臓病やがん、自己免疫疾患など、深刻な病気のサインかもしれません。うつ病や不安障害の兆候の可能性もあります。また、薬を服用している人なら、その副作用の可能性もあるでしょう。急にエネルギーが失われたような気がしたり、常に疲労感が抜けなかったりする場合は、医師に相談する必要があります。

運動で高まるエネルギー

病気の場合を除いて、疲労感を拭い去るために最も効果的だとされている一般的な方法は、

  • 食事に気を付ける
  • 運動する
  • 十分な睡眠を取る

という基本的なことです。

その中でも特に、運動をすると脳内ではドーパミンやノルアドレナリン、セロトニンといった神経伝達物質が放出され、それによって体のエネルギー・レベルが引き上げられます。運動した後に気分が良くなるのは、そのためです。

過去の研究によれば、日常生活で座っていることが多い人は週に3日、わずか20分ずつの低~中程度の有酸素運動をするだけで、エネルギー・レベルが高まるといわれています。

ヨガでエネルギーを活性化

エネルギーにもいくつかの種類がありますが、私たちの体が持つもののうち、電気的エネルギーは神経、化学的エネルギーは血管を通って移動するとされています。さらに、私たちにはこれらの他にも、より繊細なエネルギーの経路があります。ヨガでいう「ナディ」、道教でいう「経絡」です。

エネルギー・レベルが低下するのは、この経路が何らかの理由でブロックされているときです。そうした障害物を取り除いてあげることが、再びエネルギー・レベルを高めることにつながります。

ヨガがエネルギーの面で私たちにもたらしてくれる効果については、「水道とホース」のたとえを使って、次のように説明されることがあります。

  • 水道の蛇口を開ける
  • ホースの内部にある水流を妨げるもの(「グランティ(結節)」と呼びます)を取り除く

実践したいアーサナ

実践したいアーサナ
実践したいアーサナ

私たちの心身にさまざまな恩恵を与えてくれるヨガの中でも、エネルギーを高めるのに特に効果的だとされているアーサナがいくつかあります。以下、そのうちの4つをご紹介します。

・ダウンドッグ (アド・ムカ・シュヴァナーサナ)

あまり時間に余裕がない人にとっても、全身をストレッチすることができる最適のポーズです。毎日30秒~3分間行うことがお勧めです。
床についた手と足からエネルギーが引き上げられることによって、背骨とハムストリングスが開放されるのを感じることができます。さらに、肩を耳から遠ざけることで、肩の緊張を取り除くこともできます。

・三角のポーズ(ウッティタートリコナーサナ)

短時間で全身をストレッチすることができる、もう一つの立位のポーズです。左右に開いて地面にしっかりと根付かせた両足からエネルギーを引き上げ、左右どちらかに上半身を傾け、上になる方の手を空に、もう一方の手を地面に向かって伸ばすことで、腰のひねりによって毒素の排出が促されるほか、鎮静、再生の効果が期待できます。

・パリヴルッタ ウトゥカターサナ(ねじった椅子のポーズ)

このポーズは、消化のエネルギーを高めます。下半身を地面にしっかりと根付かせ、背中を上下にストレッチさせることによって、上半身に広がりがもたらされます。ポーズを保つことが、股関節屈筋群、太もも、大殿筋を強くします。

また、このポーズは体の側面を伸ばし、脇腹のぜい肉を燃焼させます。そのほか、胸部と心臓、肩を強化し、上背部の痛みを緩和します。

・プールヴォッターナーサナ(東側を強く伸ばすポーズ)

精神的なエネルギーを高め、精神を浄化させます。最初は難しいかもしれませんが、練習を続けることで、背中、脚、上腕三頭筋、手首が強化されます。

このポーズは、練習を続けることで身体の限界を押し広げていくことができます。心臓の位置を高く引き上げることで、人生に対して持つ恐怖や過去の失敗を克服し、前進し続けようとする気持ちを持つことができるようになります。