そのクラス内容、生徒さんに違いが伝わってる?見直すべきSTEP3つ

皆さん、こんにちは!
私は東京都出身→2012年に岩手県に移住し、現在はヨガ講師兼スタジオオーナーとして活動しています。指導を始めて8年目に突入し、岩手では数少ない本業のヨガ講師として、日々ヨガクラスを行う機会をいただいています。

この記事を読んでくださっているほとんどの方はヨガ講師をされている思いますが、私も含め多くの講師達にとって自分の名前だけで集客ができるようになるまでは、とても時間がかかると思います。ホームページやSNS、フライヤーなどを駆使し告知活動をしても、多くの生徒さん達にクラスに毎回来て頂けるようになるのは、そう簡単ではありません。

現代は本当に便利な時代で、ホームページやSNS、フライヤー等、ヨガ講師に必要なツールを作る作業はとても簡単になってきています。様々なアプリやソフトがあり、無料のものでスマホだけでもある程度質の高いツールは作れます。

つまりヨガ講師にとって、「ホームページやフライヤー等は自分で作れて当たり前」の時代であるということ。ホームページやフライヤーを持っていることは当然のことで、それ自体が集客の強みではないのです。

PRツールは持っていてあたりまえ!大切なのは内容

田村佳世さんのヨガクラス
内容、ちゃんと伝えられていますか?

もちろん個々のツールの質を高めようと思ったらプロに頼むのも1つですが、もし予算的にも限りがあるのなら、告知用ツール以上に内容をもう少し工夫をしていく必要があります。

たとえプロに頼んだとしても、全体像や伝えたいこと等の内容に関しては自分で考えなくてはいけません。「どのツールを使って」「何を伝えるか」から「どう伝えるか」まで、自分が主導となってしっかりと考えていく必要があります。

フライヤーやホームページなどの内容を考える際に、キーになるのはやはりクラス内容でしょう。このクラス内容が魅力的に伝われば、未来の生徒さんたちの目に止まり、「この先生のところに行ってみようかな!」という行動を促せる可能性が上がります。

フライヤーやホームページ自体の見た目の綺麗さは一瞬の魅力ですが、生徒さん達にとって実際に購入するのはヨガクラスに参加する時間です。ヨガクラスという商品を、分かりやすく的確に表現することで、生徒さんに行動を起こさせるきっかけを作りましょう。

今回は、ご自身のクラスの独自性を表現するために、クラスのタイトルや説明文をどのように工夫したら良いかを一緒に考えたいと思います!

大前提:生徒目線でメリットが感じられる内容ですか?

ヨガ初心者さんは、そもそもヨガに種類があることも知らないですし、講師の資格を見てクラスの良し悪しを判断する人もいないでしょう。ヨガに何の知識もない初心者さんたちに「このヨガクラスに行ってみたい!」と感じてもらうために、何とか魅力的なクラス内容に工夫したいものです。

そこで、できるだけ初心者さんが参加しやすいようにハードルを下げる目的で、分かりやすいクラスのタイトルをつけるケースが多いですね。

  • 初めてのヨガ
  • リラックスヨガ
  • 運動不足解消ヨガ

などが一般的でしょうか?

でも実際にはこんな名前のヨガクラスは乱立しています。そのことがむしろ、初心者にとっては「どのクラスもたいして変わらない」という選びにくさに繋がっているかもしれません。

大切なのは、講師目線の「皆さん!クラスに来てください!」アピールではなくて、生徒目線の「私がこのクラスに行くとどうなれるのか?」が明確に伝わること。みなさんのクラス案内は講師と生徒のどちらの目線で表現されていますか?今一度確認してみましょう。

STEP1:生徒の悩みを深掘りしてみよう

田村佳世さんがヨガクラスで話をしている写真
どんなきっかけでヨガに興味を持ち、始めようと思いましたか?

まずは初心にかえって、ご自身がヨガを始めようと思った当時の気持ちを思い出してみましょう。皆さんはどんなきっかけでヨガに興味を持ち、始めようと思ったのでしょうか?

  • 肩こりや腰痛などの不調改善
  • 美容
  • 運動不足解消
  • 癒されたい
  • オシャレで気になるけど、運動初心者でもできるかな?

だいたいこんなところでしょうか?

もちろんどんな動機でヨガを始めてもOKですし、もしこれ以外にきっかけがあるのなら、それはとても良いヒントになると思うのでどんどん挙げてみましょう。

では、そこからさらに、「どうしてその悩みが生まれたか?」という悩みの具体的な源を考えてみましょう。

  • 「不調」の悩みの源:不規則な生活習慣、正しい姿勢が分からない、デスクワークなど同じ姿勢でいることが多い。
  • 「美容」の悩みの源:人と比べてしまう、自分の見た目にコンプレックスがある。
  • 「運動不足」の悩みの源:地方だと車移動が多く自分の足で歩くチャンスが少ない、運動経験がなく体力に自信がない。
  • 「癒されたい」の悩みの源:自己主張がうまくできず周りの意見に振り回されてしまい疲れる、いつも自分より誰かを優先してしまう。
  • 「初心者で不安」の悩みの源:参加者が自分以外経験者だったら恥ずかしい、クラスがキツいと嫌、ヨガウェアは何を着たらいいか分からない。

こんな風に深掘りしていくと、本当の悩みの源が見えてきたと思います。

もちろんもっと深掘りすることで他にも悩みや不安、不満の源はたくさん見つかると思います。その結果、生徒自身でも気がついていないような悩みの具体的な原因を見つけることができるでしょう。

そして言い方を変えると、この具体的な悩みが解決されるヨガに出会えれば、生徒さん達にとってヨガを始める大きな動機になるということです。

ここまで表現できれば、生徒目線で見たときに、とても親切で深みのあるクラス内容に見えてくると思います。

STEP2:「参加すると解決する悩み」を明示する

田村佳世さんのヨガクラス
「どんな悩みを解決できるのか」わかりやすく表現できていますか?

次に、先ほど深掘りした悩みの源を解決できる表現に切り替えてみましょう。つまり、「このクラスに参加するとこんな悩みを解決できる!」という事をわかりやすく表現したキャッチコピーを考えていきます。

  • 「不調改善ヨガ」→「姿勢を正して不調改善!」「日々のデスクワークが楽になる!」「乱れた生活習慣をヨガでリセット」
  • 「美容ヨガ・ビューティーヨガ」→「美しさは内側から作られる」「人と比べない!自分らしく輝く」「コンプレックスも愛せるように」
  • 「運動不足解消ヨガ」→「車に頼らず自力で動ける体に」「疲れにくい体と心を育てる」
  • 「リラックスヨガ」→「周りに流されない!自分軸を作る」「自分と対話する」「自分自身を労わる」
  • 「初めてのヨガ」→「みんなと一緒にはじめの一歩」「呼吸さえできればヨガは誰でもできる!」

いかがでしょうか?シンプルすぎるヨガのタイトルからは漠然としたイメージしか伝わりませんが、もう一歩深掘りしたキャッチコピーを考えると、クラスの目的がより明確になり、「これは私のことかも!」「自分に合っているかも!」と親近感を感じてもらえると思います。こんな感じでどんどんクラス内容のアイデアを膨らませてみましょう。

STEP3:より地域性の高いクラステーマを考えてみる

ヨガマットが畳の上にひかれた写真
今は銭湯でもヨガクラスを開催しています。

これまでは一般的なヨガクラスのキャッチコピーを考えてきましたが、皆さんの活動する地域特性をより深掘りしてみると、更に地元の生徒さんたちの悩みに貢献できるクラス内容に工夫することができるかもしれません。

寒い冬をどう乗り切るかが課題の岩手

例えば、私の活動拠点である岩手県は東北地方なので、夏は短いですし、一年の半分は冬みたいなものです。そして、ほとんどの人たちの交通手段が自家用車での移動、厳冬期になればアイスバーンで外を出歩く方が危険です。

公共交通手段が便利な東京人の方がよっぽどたくさん歩きますし、岩手に移住して初めて、岩手人の「寒い→動かない→ますます冷える」という負のスパイラルを知りました。そして寒い日が続くと心も閉じ気味になりやすいのか、ある統計では都道府県別自殺死亡率のランキングで岩手県は常に上位です。肉体的にも精神的にも岩手においては冬をどう乗り切るかが最大のテーマだなと私は分析しています。

そんな岩手の状況に気づくまで、当初私は熱い国、インドで学んだヨガをそのまま伝え続ける指導をしていました。クラスで扱う呼吸法やポーズもいつも一緒。でもこれでは岩手の人々の体質改善にはつながりませんでした。

もちろんインドの伝統的なヨガは素晴らしいですし、私自身もその中からたくさんのヨガ本来の恩恵を受け取ることができました。もちろん生徒さんたちにとっても十分にヨガを楽しんでいただけていたと思います。

でもそのヨガの実践を10年以上、指導を5年以上続けても、私自身の毎年の悩みである足指の霜焼けは改善しませんでした。そもそもの環境がとても寒いので、クラスの室内を頑張って温めても一時しのぎにすぎません。私も含め岩手の人たちは、この厳しい冬とこの先何十年も生きていかなければならないのです。

もちろんヨガは体以上に心や生き方を大切にしている知恵なので、「霜焼けなんてヨガに関係ない」と言われてしまえばそれまでですが、寒い中頑張って通ってきてくれる岩手の生徒さん達も、私と同じような悩みを抱えているのは明確でした。

せっかくヨガに来てくれているのであれば、もっと地域の生徒さん達に寄り添える内容にすることはできないのか?と私は模索しました。

本質を大切にしながらクラス内容を変更

田村佳世さんのヨガクラス
大切なのは生徒さんたちの目線に立ったクラスを提供すること

そこで私は流派を超えた現代ハタヨガを学び直すことに決めました。その時点で既に私はE-RYT500を取得していましたが、今までの流派とは違う現代ハタヨガのRYT200の指導者養成講座を受け直したのです。その講座の中で、流派を問わず大切なヨガの本質はより明らかになり、現代の多種多様なヨガがポーズや呼吸法をどのように解釈しているのか多角的な視点を得ることができました。

その後のクラスでは、ヨガの伝統的な本質は大切にしながら、東北ならではの気候で生き抜く体と心を育てていくクラス内容にガラッと変えました。

寒さに負けない体作りと、寒さで閉じやすい心を開いていくテーマに変えて、ポーズや呼吸法を工夫しながら指導するようになって3年以上経ちます。もちろんその効果を一番感じているのは私自身ですが、生徒さん達からもご自身の体や心に起きた変化についてたくさん感想をいただいています。

これはあくまで私の選んだ道なので、1つの方法ですが、正解はヨガ講師の数だけあると私は信じています。現代では伝統流派からクリエイティブな現代ハタヨガまでたくさんの種類があり、講師も生徒も様々なヨガを選ぶことができる豊かな時代です。

大切なのは

  • ヨガ講師自身の想いと経験が詰まったクラスを行うこと
  • 目の前に集まってくれる生徒さんたちの目線に立ったクラスを提供すること

だと思います。

生徒目線を大切にしたクラスで生徒に寄り添う

「ヨガが好き!」という想いはヨガ講師にとって一番大切ではありますが、講師の「好き!」をアピールしても、実は初心者さんたちにとってあまり関係ありません。

例えば「私はこのイチゴが大好きです!買ってください!」と突然言われても、お客さんの生活には関係ないですよね?でも、「このイチゴを買うとこんな風にあなたの生活が豊かになるよ。」という具体的なイメージが共有できれば、きっと「買ってみたいな」という気持ちになると思います。

ヨガが好きなだけなら単にヨガ実践者であればいい。

しかし実践者ではなくヨガ講師という道を選んだのであれば、大切なのは徹底的な「生徒目線」だと私は思います。でも、その生徒目線は案外難しくないはずです。どんなヨガ講師にもヨガデビューの日があったのですから。分からなくなった時、迷ってしまった時は、いつでも初心にかえるようにしてみましょう。