ヨガをしても腰痛は治らない? 痛みのないヨガを指導しよう!

ヨガをしても腰痛は治らない? 痛みのないヨガを指導しよう!

「ヨガをやっても腰が痛い。教え始めてからますます腰や首の痛みが辛い」そんな悩みをよく耳にします。実は何を隠そう私も昔はその一人でした。痛みを隠して指導を続けてもさらにひどくなることも!そうなる前に、まずは自分の「癖」や「身体の使い方」を見直しませんか?

猫背より悪い「気をつけ!」の癖

腰痛の原因の一つは脊椎にある自然なカーブを使えていないことにあります。人間の脊椎は自然に立ったときには少なくとも5つのカーブがあります。その緩やかなカーブはとても良くできていて、人間が直立してもその重みを逃がし重力と上手く付き合えるようにできているのです。

ところが日本の学校教育では「気をつけ!」という号令の型を子供に教えます。「気をつけ!」で背中をまっすぐにすることは”重力を逃がす”脊椎の構造には合っていない動きなのですが、ほとんどの日本人は子供時代から「背中をまっすぐに伸ばす」”気をつけ癖”があります。

腰痛の人が痛みを感じるのはほとんど腰椎の下の方です。背中をまっすぐにしながらヨガをし続けると、カーブのない脊椎と頭の重さ全てが腰椎の下の方に重圧としてかかり、全身のパフォーマンスは下がり、腰に負担がかかり腰痛が起こるのです。

「背筋を伸ばす」と「緊張」の関係

「背筋を伸ばす」と「緊張」の関係
「背筋を伸ばす」と「緊張」の関係

文化的にも根深い日本人の「気をつけ!」は「ちゃんとしなくては!」という思いとしばしばつながっています。

緊張やストレスがかかると無意識に背中や首の筋肉、後背筋という大きな筋肉が緊張し固まります。背中側は身体の前側に比べると感覚があまりないため、普段から緊張させていることをなかなか感じにくいものです。

「腰が痛い」というインストラクターさんは、「ちゃんと指導しなくては!」と思っていませんか?

実は腰痛は心の痛みでもあるのです。腰痛を治すには身体の構造を知ってヨガの普段の動きを改善すると同時に、「ちゃんとしよう!」「がんばらなくては!」「あー緊張する!」などの思いを手放していくことが助けになります。頑張りやさんで成果をいつも求める人に腰痛持ちの人が多いのには、こんな理由もあるのです。

ヨガは背中の”カーブ”を使っておこなおう!

ヨガでもよく「背中をまっすぐにする」というインストラクションを聞きますが、実際にはまっすぐにしてタダーサナ(立ちポーズ)からアーサナをしてみると何も意識せずにただ立ってヨガをはじめた時に比べて、腕も上げにくく、足も使いにくいはずです。「脊椎はカーブしたままでいい!」ということを思い出しながら気楽にヨガをスタートしてみましょう。

ヨガ指導者の方は「まっすぐ」という言葉はあまり使わないように工夫する方がきっと生徒さんの動きはよくなりますので、ぜひ試してみてくださいね。

人間の身体は骨も関節も曲線からできていてまっすぐな部位はほとんどないのです。なるべく実際の身体の造形に合った言葉を使って、指導することが”伝わる”指導のコツです。(指導する際の”言葉”については次回を楽しみに!)

「腰痛」を気にしてがんばるより、”全身スイッチ”を入れよう!

身体全体を使えていないことで負担が一部にかかって腰痛は起こります。また、腰痛が出た時は「腰」を意識しすぎてしまうと腰周りの筋肉を先に緊張させて余計に痛くなりますので、腰を守ろうとするのは逆効果!自分の頭や体の軸、手足の関節を丁寧に見ながら少しずつ全身を目覚めさせ「全身を使ってヨガをするぞ!」と意識をする“全身スイッチ”を入れてからスタートしましょう。