Mahokoが青空に向って足を伸ばしている

寝ていても健康な身体を維持できる!コツは「重力を感じる」こと

無意識に働いている、重力への反応

ヨガの最終的な目標は、安定した座位(座った姿勢)で、瞑想を行い自分自身に戻っていくことです。では、安定した姿勢とは、どのように保たれるのでしょう?

それはもちろん、姿勢の良い背骨や、それを取り巻くバランスのいい筋肉、座位を保てるしなやかな下半身かもしれません。

けれど、さらに注目したい要素は、地球の重力(Gravity)です。重力があることによって地面に着地して立ったり座ったりしていられます。また重力に逆らう動きもわたしたち人間は無意識にとっています(例えば背中を真っすぐ上に引き上げておく状態)。逆方向に働く動きはわたしたちを強くしてくれます

呼吸ができることに加えて、重力があるということが、わたしたちを地球上で活かしておく大事な要素であり、ヨガでもこの重力について理解していくことが大切であると思っています。

重力があるから骨と筋肉が強くなる

下を向いた犬のポーズをするMahoko
手のひらと足で大地を押し、尾骨を引き上げるダウンドッグ

重力に反発して立つ、座る、腕を上げる、歩く、走る、といった動作は、人間の骨と筋肉を強くします。ヨガのポーズのひとつ、ダウンドッグ(下を向いた犬のポーズ)を例に挙げてみましょう。

両手、両足を床についたまま、下向きでお尻を空に向って持ち上げる動作です。両腕、両脚を強くし、またコアも強化するでしょう。足や手に体重をかける(適度に負荷をかける)動作は、骨の生成が促されて、骨密度の低下をゆるやかにするとも云われています。[1]

ダウンドッグでなくても、重力を実感できる動作があります。直立で立ったまま、両腕を横から上げ下げする動きを呼吸に合わせて行ってみましょう。重力(下に向うエネルギー)に逆らう動き(上に持ち上げるエネルギー)になっています。

その場で足踏みをするだけでも、脚を持ち上げる動きはしっかり重力に逆らっています。座っている時も、背骨を上に引き上げておくことが、重力に逆らう動作になっています。

では、立つことも座ることもできない状態で、重力に逆らう動きはあるのでしょうか?

寝ていても重力に反発できる

はい、あります。

仰向けになったまま、片腕ずつでもかまいませんし、両腕が動かせるのであれば、体側に腕を置いたところから吸う息で上がるところまで挙げてみるだけでも、明らかに重力に反発した動きになっています。

わたしが乳がんの摘出手術をした直後、麻酔が切れるまで約5時間ほどベッドで安静にしていなければならないため、どうしても身体を動かしたくてムズムズしてしまいました。そんな時は、仰向けの状態で両膝を立て、おしりを低い高さまで持ち上げて降ろす、という運動を繰り返しました。

尿道カテーテルが挿入されていたし(自力ではトイレに立って行けないのでカテーテルで排尿されます)、脚は血栓予防のためのマッサージ機が装着されていたので(動かないというリスクは、エコにミー症候群のような血栓を生じる問題につながります)、それほど大きな動きはできません。手術直後は疲れやすくて長くはできませんでしたが、ムズムズを感じたら実践していました。そしてその動きに慣れてきたら、持ち上げたおしりを左右に少しだけずらして降ろすことで、多少、ねじりの効果も生んでいました。

片脚ずつ低く持ち上げる動作なども、無理なく行えて効果のある、重力に逆らった動作です。このように、わたしたちはヨガを活用して、どんな状態にあっても重力に逆らう動作で健康な身体を維持することができるのです

大地に根ざして、太陽に向ってのびのびと

Mahokoが滝をバックに木の上で戦士のポーズをしている
力強い戦士のポーズで腕を上げるのは重力への反発運動

ヨガクラスなどでは「大地とつながる(Grounding)」という言葉を耳にすることもあるかと思います。抽象的な表現なので、イメージしにくい場合は、具体的に「重力を感じる」と置き換えてみると良いかもしれません。

大地に足をつけていられるのは、重力があるからこそ。そして横になってリラックスした状態になれるのも重力のおかげ。そこからしっかりとした強くしなやかな根っこを生やしていくのは、自分次第。根っこが生えたら、栄養をたっぷり吸収し(呼吸や食事)、自分らしい花を咲かせて重力に逆らって太陽に向って自由に伸び伸びのびていきましょう!