Heart of Yoga|ハートオブヨガ:指導者であることは友人であること

Heart of Yoga ハートオブヨガ:指導者であることは友人であること

2人のクリシュナムルティ

U.G.クリシュナムルティ
U.G.クリシュナムルティ

“ヨガの本質”を今に伝える伝統的なハタ・ヨガの手法「ハートオブヨガ」。それを提唱するわたしの恩師、マーク・ウィットウェルには、複数の敬愛する師がいます。近代ヨガの祖と呼ばれるT.クリシュナマチャリア。その息子であるT.K.V.デシカチャー。そして、急進的な哲学者として知られたU.G.クリシュナムルティ

クラスの中ではよく「わたしの先生は、かつてよくこう言っていました…」と、マークが直接教えを受けた恩師たちのエピソードが出てきます。どの方も、すでにお亡くなりになっていますが、わたしは、マークから聞く先生たちの話が大好きです。それは、その言葉の一つひとつに、深い愛情と尊敬を感じ、それを受け取っているわたしも、時代を経て、脈々と継承される系譜の中にあることを、しみじみ実感するときでもあるからです。

U.G.クリシュナムルティは、有名な宗教哲学者J. クリシュナムルティの元で学んでいた時期があり、この二人のクリシュナムルティは、クリシュナマチャリア、デシカチャー父子と親交があったそうです。マークに大きな影響を与えたこの中の誰か一人が欠けても、ハートオブヨガは、今のハートオブヨガにはなりませんでした。それを思えば、ヨガは人から人へ、直に伝わっていくものなのだとよく分かります。

上下関係ではなく“対等”な関係

マーク・ウィットウェル氏
バリでのクラスの後、参加者と談笑するマーク・ウィットウェル氏(撮影:川原朋子)

クリシュナマチャリアとデシカチャーが、それぞれの生涯を通して伝え続けた「人の数だけヨガがある」という大切なヨガの本質。ハートオブヨガをハートオブヨガたらしめているものは、その概念だけではなく、先生と生徒の関係性にも色濃く表れています。それこそが、マークがU.G.クリシュナムルティから学んだことの一つです。

U.G.は、「アンチ・グル(Anti-Guru)」として、知られた人物でもありました。カリスマ性がありながら、自身がグル(師)として祭り上げられることを非常に嫌った理由。すべての命の源である神聖な「プルシャ」と、そこから生まれた命である「プラクリティ」。神聖なものから生み出されたものもまた、同じように神聖であるならば、そこには一切の優劣がないはずだという“非二元論的”なヨガ哲学の解釈がそこにはあります。

マークはそのU.G.の姿勢に深い感銘を受け、「人から人へと、大切なものが適切に伝わっていくためには、ヒエラルキーがあってはならない」と、いつも語っています。それは、ピラミッド型の権力構造のような上下関係ではなく、あくまで対等な横並びの関係がなければ、それが起こり得ないことを、自らの体験を通して知っているからです。

指導者であることは“友人”であること

プラクリティであるわたしたちも、プルシャと同じように、あるがままで完全で、完璧な存在。そうであるなら、ヨガの指導者がクラスでさせてもらうことは、相手にないものを与えるのではなく、もともとあるものを本人が思い出すお手伝いです。教えるというよりは「分かち合う」ということ。わたしはいつもそう感じています。そして、教える立場にいるようで、誰よりもこちらが教わっていることも明らかです。だからこそ、マークのこの言葉に真実があると分かります。

「指導者は、友人以上でも以下でもありません」
“Teacher is no more than a friend nor less than a friend. ”
—Mark Whitwell

そして、マーク自身も、常にそうわたしたちに接してくれます。世界に広がるハートオブヨガ コミュニティの交流の場として、月に一度、オンラインでのサンガ(集い)がありますが、そこでそれぞれの話に耳を傾け、心を込めて言葉を返すマークの姿勢は、まさに友人そのもの。それは、日本の指導者養成講座でのスカイプでも、海外のヨガフェスティバルでのクラスでも変わりません。そこにはいつも真の対話があり、血の通った人間同士の、温かく、力強いつながりがあるのです。

良い指導者になるための“三つの条件”

「良いヨガの先生になるために、必要な条件は三つだけ」。マークはそう話します。それは、自分のためのプラクティスをしていること。自らが良い指導者に恵まれていること。そして、人に対して思いやりがあること。彼の恩師であるクリシュナマチャリアの言葉も、何度でも思い出したい、大切な道標です。

「ヨガは商業活動ではありません。地域に根ざした共同体で、人を大切にするということです」
“Yoga is not a commercial activity. It is caring about people in a local community.”
—T. Krishnamacharya

「ヨガには縁がない」「敷居が高い」「自分には向いていない」…。そう感じてしまう人が、少しでも減っていくことを願って、わたしたちはこのアプローチを伝えています。命は、ハタ・ヨガそのもの。ヨガと無縁の人など、本来はいないはずです。

クリシュナマチャリアは、「呼吸さえできれば、ヨガはできる」と、断言した人でした。つまり、呼吸があれば、そこにはもうヨガがあるということ。その美しくて力強い真実を、これからもフリダヤ(心)からフリダヤへと、分かち合っていきたいと思います。

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