【元看護師に聞いた!】|「1日2ℓの水を飲もう」は本当に正しいの?

【元看護師に聞いた!】「1日2ℓの水を飲もう」は本当に正しいの?

水にまつわるホントのところを知ろう!

空と水の入ったペットボトル
水と身体のメカニズムを知ろう

「美容のためには水を1日2ℓ飲もう」「たくさん水を飲んで、デトックスしよう」「むくみが気になる人は水をどんどん飲んで血流を良くしよう」などヨガインストラクターさんから言われたり、美容雑誌で読んだりしたことはありませんか?

これらは一概に間違っているわけではありませんし、水を飲むことはとても大切ですが、たくさんのお水を飲む場合には知っておいて欲しい身体のメカニズムがあります。元看護師が少し専門的な話も含めてご紹介します。

人間の身体に占める水分量の割合は?

体内の70%の水分量を表すイラスト
身体の70%は水分

人間の身体の約70%が水分からできているというのは、ご存知のかたも多いですよね。この水分は人間が生きていくうえで必要不可欠であり、水分が減ることで脱水症状に陥るので積極的に摂取することは大切です。

なお、年をとると体内の水分量は徐々に減少していき50%程になると言われています。高齢者の肌が乾燥しやすく脱水になりやすいのも、これが原因の一つです。

ちなみに、新生児は75%、子供は70%が水分からできていると言われています。子どもの肌がぷるぷるしていて羨ましくなるのも納得ですよね。

体内で水分が処理されるメカニズム

グラス1杯の水を手にした女性
身体の中で水はどのような働きをするのでしょうか

飲んだ水は、私たちの身体のなかでどのように処理されるのでしょうか? 

水分を処理しているのは基本的に腎臓です。そこから尿や汗となり、排泄されていきます。ただし腎臓の処理能力には限界があります。水をたくさん飲むと良いと聞いたからといって、急にいつも以上に水分を摂ると腎臓がうまく処理できないことがあります。

私たちの身体には様々な調節機構があり、それらがうまくバランスをとっています。水分を急に摂り過ぎてしまった場合には、腎臓が処理できなかった水分がむくみとなって現れ、体内が過剰な水分で薄まってしまうので塩分が欲しくなります。

水をたくさん飲むことは基本的に、身体にとってプラスに働きます。現時点で飲む水の量が少ない人は、血液がどろどろになりやすく、血管が詰まる病気にかかりやすいものです。そのため、少しずつでも多めに飲むことをオススメします。

飲み方についても、その時の体調や環境(気温や湿度)によりますが、一度にたくさん飲むのではなく、少しずつの量を回数を増やして飲むのが良いでしょう。

「1日2ℓ」の根拠は1日に排出する量との関係にある!

ペットボトルからグラスに水を注いでいる
1日に必要な水分量の目安を知ろう

それではどのくらい飲めば適切なのか?女性誌などでよく言われる「1日2ℓ」の根拠について、少し専門的な話も踏まえてお話しします。

ざっくり言うと1日に必要な水分量を考える時には、「排泄量(身体から出ていく水分量)」と、「代謝水」の2つを考える必要があります。排泄量とは、汗や尿、便、不感蒸泄などが含まれます。代謝水とは、摂取した食物の栄養素が代謝されて生じる水分、つまり食事から摂取できる水分のことです。

ここから1日に必要な水分量は、以下の式で求めることができます。

1日に必要な水分量=尿+便+不感蒸泄-代謝水

一般の健康な人の場合、1日に尿1,000~1,500mℓ、便150~200mℓ、不感蒸泄750~1,150mℓを排泄しています。これを代謝水250mℓ(体重当たり5mℓ。今回は50kgとして計算)として先ほどの式にあてはめると、下記のようになります。

1,000~1,500 + 150~200 + 750~1,150 - 250=1,650~2,600(平均2,125mℓ=約2ℓ)

これらの理由から美容や健康のためには「1日2ℓが必要」と言われてきました。

ただし、1日に必要な水分量には個人差があります、デスクワークの人と営業職の人では1日の運動量は異なりますので、あくまで目安と考えてください。 大切なことは、自分の身体の声を聞きながら、自分にとってベストな方法を探っていくことです。生まれつき腎臓の機能が少し弱い人、冷たい水をとりすぎるとお腹をこわしやすい人など、いろいろな人がいます。

「これがいい!」ということを、そのまま受け入れるのではなく、情報の一つとして受け止め、自分にとってベストな方法を選択できるようになってほしいと思います。特にヨガを続けていると、自分と向き合ったり、自分の身体の声を聞くことが上手にできるようになりますよ。

※健康上の理由などでお医者さんから水分摂取量などの指導を受けている人は、その指示に従ってください。