グラスを手に乾杯する男女

アーユルヴェーダ的!年末年始、暴飲暴食に備えてやるべきこと5選

年末年始の風物詩、「忘年会・新年会」

師走の慌ただしさの原因は、仕事納め、クリスマスやウィンタースポーツの始まり時期などのイベントごと。そして、いくつもお誘いがあり参加することになる年末の風物詩、忘年会。さらに年始には新年会がいたるところで繰り広げられます。毎年、この年末年始にしか会わない友達もいるんじゃないかというくらい。

そうして旧友との再会、1年を共に過ごした友人や同僚と、今年の失敗談や大変だったこと、楽しかったことを語り合いながら過ごす楽しすぎる時間が肴となり…お酒とご飯のどんどんどんどん口の中に運んでしまいます。そんな時期に手放せないのがウコン、ヘパリーゼ、胃腸薬などのお助け薬たち。著者も、最近はこれらを飲まないと次の日に胃もたれが残ってしまい怖いくらいです。

一方で、これらのお助け薬たちは、肝臓の機能を向上や消化酵素などによる消化の促進などサポートはしてくれるものの、飲み続ければ自分の本来の消化力や肝機能はきっと怠けてしまいます。そうして、身体が疲れてしまったり、便秘になったり、1ヶ月後には「正月太り」などという最悪な結果を引き起こします。それを避けるにはどうしたらいいのでしょうか?

消化の仕組みを知る「消化の炎(アグニ)」

胃の中で炎が燃えているイラスト
身体の中の「アグニ」という名前の「消化の炎」

アーユルヴェーダでは、消化機能を身体の中の「アグニ」という名前の「消化の炎」が司っていると言われています。「アグニ」とはインド神話に出てくる火の神様を意味しています。アーユルヴェーダにおける「消化」とは体内に取り込まれた食べ物(栄養)をエネルギーに変換し吸収することを意味しており、アグニは体内のあらゆる場所に存在するものと考えられています。さらにアグニの機能は食べ物の消化吸収に限らず、細胞の変換、体温調整なども挙げられます。

アグニを理解するときには、「小さな火種」があるとイメージすると良いでしょう。その火種に私たちが食べたご飯が燃料となって、炎が大きくなったり小さくなりながら燃えています。メラメラと燃えながら食べ物をエネルギーに変換し、最後に残った「老廃物(マラ)」を汗・尿・便としてキレイに体外へ排出します。

このサイクルが上手に回っていると、消化機能が健全だと言えます。一方で消化の炎が弱まってしまって燃やしきれないと「未消化物(アーマ)」が残り、毒素として身体に蓄積してしまいます。反対に火力が強すぎたり、食べ物の量が多すぎても「未消化物(アーマ)」が発生してしまいます。

消化機能のまとめ

  • アグニ・・・消化の炎
  • 食べ物・・・栄養 → エネルギーになる
  • マラ(老廃物)・・・・汗、尿、便としてキレイに体外へ排出される
  • アーマ(未消化物)・・毒素となって身体の中に残る

このように、正しい消化は「消化の炎(アグニ)」を、安定的にいい感じの炎、つまり中火に保つこと。なるべく「未消化物(アーマ)」を発生させず、しっかりと「老廃物(マラ)」として排出することが必要なのです。イメージしてください。脂っこい食事を炎に注ぎ、冷たいビールを浴びせ、、、、翌日「胃もたれがする・・」と言っているのは、まさに「未消化物(アーマ)」が蓄積しているからなのです。

「消化の炎(アグニ)」を整える方法5選!

それでは、どのように「消化の炎(アグニ)」を正常に働かせればいいのでしょうか。アーユルヴェーダでは3つのドーシャのタイプで日々の食事法を紹介しています。

アーユルヴェーダ的、健康的な食事のポイントは“消化力”

今回は、ドーシャに関係なく全員が意識できるポイントをご紹介いたします。ポイントは、燃えやすいものを食べるということと、「消化の炎(アグニ)」の火加減です。

1:新鮮でピュア(純)なものを食べる

新鮮なフルーツや野菜
フルーツや野菜、その場で調理した新鮮なものをなるべく選ぶ

古いもの、加工したものなど、人の手が加わっているものは、消化(エネルギーへの変換)が難しく時間がかかると言われています。例えば、新鮮で全く加工していないエネルギーの塊といえばフルーツです。その他も、野菜や、その場で調理した新鮮なものをなるべく選ぶように心がけましょう。

2:温かいものを食べる

ホットドリンクのマグカップを手にした女性
温かいものがアグニを一定に保ちます

冷たいものは「消化の炎(アグニ)」を弱らせます。冷たいピールもいいですが、温かい焼酎や日本酒、ワインなど、温かいままいただく美味しいお酒もありますので、メニューを選ぶ際に意識してみるのもいいかもしれません。
 
今日食べ過ぎたな、とか、調子が悪いな、と思った時には、寝る前にコップ一杯の白湯を飲んでから寝ると夜の間に消化が進みます。日中も冷たい飲み物よりも白湯が断然オススメです。

3:腹七分目

計量器に乗せられたハンバーガー
腹七分目が1回の最適な食事量です

キャンプファイヤーの炎に一気にまきをくべ過ぎて、火を消してしまったことはありませんか?実際の炎が上手に燃えるために一定の空間(酸素)が必要なように、アグニも食べ物を満タンに詰めすぎると力が弱まってしまいます。消化のために腹七分目を心がけましょう。七分目のポイントは「げっぷ」です。実は「げっぷ」は、ちょうど七分目あたりで、「もうご飯は十分ですよ」と身体が出してくれているサイン。これを聞き逃さないようにしましょう。

4:ご飯の時間を空ける

目覚まし時計とナイフとフォーク
お腹がすいたら食事をとる

「消化の炎(アグニ)」が前の食事を燃やしているところで、また新しい食事を上からどさっと入れられたら、炎はどうなるでしょうか?おそらくよく燃えたものと燃えていないものが入り混じり、炎も弱くなるはず。前の食事がしっかりと消化され終わってから、次のご飯を食べるようにしましょう。
 
これにも身体の合図があるんです。お腹がなったり「食べ物の匂いがしないげっぷ」が出ることがあります。イメージでは食後6時間程度。毎日仕事が不規則でお昼の時間帯に昼食が取れないこともあると思いますが、例えば19時から飲み会があるのに、2〜3時にお昼ご飯をお腹いっぱい食べるのは良くありません。次のご飯の時間を考え、自分で時間を調整しながら食事を楽しみましょう。

5:身体を温める

大自然の中で椅子のポーズをする女性
ヨガのウトゥカタアーサナ(椅子のポーズ)も身体を温めます

「消化の炎(アグニ)」の火加減の話をしてきましたが、それだけではなく身体自体を温めることをオススメします。アグニは身体の体温調節を司っています。身体が冷えていたら消化よりも身体を温めることを優先してしまうかもしれません。また、冷えた身体の中ではアグニも正常に燃えることができません。毎日の適度な運動、特に朝に軽くヨガを行うのがオススメです。普段の太陽礼拝に、体幹を使い熱を生むようなウトゥカタアーサナ(椅子のポーズ)などを追加してもいいですね。

消化の炎と心の安定

ワインボトルや手持ち花火をかざして写真を撮る人たち
年末年始、身体のためにも、心のためにも「消化の炎(アグニ)」を整えよう

最後に、インド神話のアグニは人間や動物の体内では本日紹介したような「食物の消化作用」として存在し、栄養を全身に行き渡らせて健康をもたらすだけではなく、子孫繁栄や財産(家畜)の増大などももたらすとされていました。さらに、心中の怒りの炎・思想の火・霊感の火としても、例えばいわゆる「やる気・闘志」と言った心の中の炎としても存在すると考えられていました。

つまり、「消化の炎(アグニ)」を正常に保つことは、心の安定にもつながります。炎が弱まると、気分も暗くなることもあり、反対に炎が異様に大きくなると、怒りっぽくなることもあるようです。このように「消化の炎」に「心の炎」が影響を受けることがあります。この年末年始、身体のためにも、心のためにも「消化の炎(アグニ)」を整えましょう。

素敵な年末年始をお過ごしください。

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