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【ヨガジェネレーションスペシャル企画】

産婦人科医 高尾美穂先生 × サントーシマ香先生 スペシャル対談
“ヨガが女性に出来ること” vol.3

爆発的なヨガブームから次第にライフスタイルとして定着してきたヨガ。
特に女性にとっては美容・ダイエットから、自分の心と体の調和やストレスと
うまく付き合う1つのエッセンスとなってきているのではないでしょうか?

そこでヨガジェネレーションではヨガの指導者として女性の体と心に寄り添い、第一線で活躍を続ける、
産婦人科医 高尾美穂先生サントーシマ香先生にヨガのこと、女性の心と体のこと、
そして指導者としてのこれからなどをお話頂くスペシャル対談を行いました。
全4回にわたって、それぞれテーマ毎にその想いをお伝えしていきたいと思います!

第3回のテーマは“本当のところ、ヨガって効くの?”です!

 

女性の体の悩みにヨガは何ができるのか?

編集部:
これまでVol.1Vol.2で女性にとって
ストレスの多い社会環境やそれによる不妊をはじめとする女性の体の悩みについて
お話を伺ってきましたが、ヨガはこういった問題に対して何ができるのでしょうか?

 

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香先生:
やはり一番はストレスに対してアプローチすることだと思います。
脳の中の視床下部と脳下垂体という部分がストレスに対して自律神経を調節する役割をしているので、
そこの緊張を緩和してあげることで脳がストレスホルモンから性ホルモンの
分泌にエネルギーを使えるようになると思います。

私もいろいろな本を読むのが好きなのですが、その中で医学生のための婦人科学の教科書の中に、
女性の月経サイクルが全ての生体リズムの中でもっとも調和的なものだということが
書いてあって、それがすごく嬉しかったんです。
もともと体が持っているリズムが自然に働くように、余計なノイズを少なくすることが
ヨガはできる
のかなって思ったんですよね。

ここ数年、骨盤を整えるヨガなどずーっとブームが続いていますが、そういった筋骨格系は
もちろん体にあるんですがそこにメッセージを送っているのは脳ですし、その脳は
感情やストレスにダイレクトに影響を受ける
のでそこのところを、
やっぱり緩めてあげることが重要だと思います。

もちろんそれだけは不十分で、アーユルヴェーダでいう毒素がすごく溜まっている人は
それを出してあげることが重要だし、卵管が詰まっている人はきちんと検診を
受けることも大事
だと思います。

 

高尾先生:
おっしゃる通り!視床下部という部分がすごく大事で、
その視床下部の働きの1つ目が女性ホルモンのスタート地点なんです。
そして2つ目がストレスを感知する場所。3つ目が自律神経を調節する場所
その働きのどこかに問題が起こると全てに問題が出てくるの。

そう考えたときに、一番影響を受けやすいがストレス
大きすぎるストレスを受けることで視床下部の働きの残り2つどちらもが影響を受けてしまうの。
よくお話しする例の一つに「戦時無月経」というのがあって、第二次世界大戦の時に
ナチスがひどいことをして、その後約90%の女性の生理が止まった
というデータがあるくらいなんです。

いずれ正確なデータが出ると思うけど東日本大震災のときも、
何割かの女性が生理に不調が出たとも言われているんです。
それを考えると女性の場合、ストレスとからだはものすごく直結していると言えるよね。

ヨガでこの自律神経をコントロールすることがある程度可能ということがもうわかっているの。
この自律神経をコントロールすることで、視床下部の働きをうまくコントロール
しようというのが基本的な考え方と言えます。
視床下部に働きかけることができるというのは本当にヨガのいいところだと思います。

 

自分に合ったヨガを続けることで見えてくること

編集部:
ヨガはよく緊張と弛緩だと言われますが、それは体に対してだけではなく
脳に対してもそのような働きがあるんですね。

 

高尾先生:
ヨガをしている時って私たちにとって非日常の時間ですよね。
その非日常の時間を日常に取り入れてあげることがすごく大事なことだと思います。
それは朝の15分だっていいし、クラスの90分だったらもっといいけれども…

その時間中というのはヨガのスタイルやその人の受け取り方にもよるけど、
多くの人は自律神経が上手に働くような時間にできていると思います。
それが日常の生活、つまりストレスが多い生活に戻ったとしても
そういう時間を意識的に作ってあげることがいいことなんじゃないかなと思います。 

 

編集部:
自分でプラクティスができることがベストですが、
まずは流派にこだわるのではなく自分が気持ちいいなと感じるクラス、
自分にとって何かいいなと感じるクラスを選択して、日常に取り入れていく
ことが重要なんですね。

 

香先生:
なるべく経験がある先生のところに行った方がいいと思うし、
幸せそうな先生というのも大事だと思いますね。

ただ、今って陰ヨガやリストラティブヨガ、ヨガニードラといったタイプのヨガが
脚光を浴びている一方で、動的なヨガの運動の効用というのもありますよね。
そこをヨガという時間に求めるかどうかもあったりもするんだと思います。

 

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高尾先生:
本当そう!瞑想の方にプラクティスを持っていくか、
フィジカルの方に持っていくかというのが両極端にあるとすると、
自分でそこの調節が可能というのがヨガのいいところだと思います。

その人が長くヨガを続けていこうとするときにこのあたりにしよう、と選ぶのもありだし
毎日の練習の中で今日はこっち寄りだな、と選んでもいいと思います。
例えば生理中には瞑想寄りにしようという、それだって十分ヨガだと思うし。
それを自分の中でチューニングすればいいのかなって思います。

 

香先生:
でも初めって何がいいのかわからなかったりもしますよね。
今って優しいヨガがすごく人気があるけれども、それってヨガ以外の日常ですごくタフな環境で
頑張らなくてはならないから、リストラティブヨガに行く人はリストラティブヨガだけって
なっちゃっていますよね。でもある程度健康が底上げされてきたら、違うタイプのヨガを
取り入れるのもいいかもしれない
なって思います。

最近面白い本を読んで、「Go Wild 野生の体を取り戻せ」というハーバード大学の
臨床精神医学の教授をされている方が書いた本なんですけどね。
また、その方が書いたもう一冊、別の本のタイトルには、
「脳を鍛えるには運動しかない」というものがあって、こちらも興味深かったです。

 

高尾先生:
あ、その本知ってる!

 

香先生:
人間の、不妊なども含めて現代病の多くは文明病だと書いていました。
椅子に長時間座ってたりとか。
副題がとても面白いんですよ!「文明に飼い馴らされた生き方はもうお終いだ」と。

内容もフィーリングではなくホルモンだったり神経伝達物質だったり、そういった
エビデンスを多用していて、マインドフルネスや自然の中で過ごすこと、
ある程度心拍数を上げるような運動と掛け合わせた内容がすごく面白くてお勧めですね。

私もそれを読んで走りに行きました!ウォーキングしてジョギングして
ダッシュしてというのを繰り返して(笑)

 

自分の体、自分の日常に責任を!

高尾先生:
結局のところたくさんのストレスや長時間のデスクワークに対しては、
たった1週間に1回90分のクラスだけではたいした効果がないということを知ってもらえるといいですね。
それだけでは何かが良くなるわけではないということを。

当然まずそれを続けることがベース。
でも自分がそれだけのおかげで変われると信じ込むことは大間違いってこと。

 

編集部:
でも1週間に1回90分のクラスに参加するのを続けるのも、けっこう大変だと思うのですが・・・

 

高尾先生:
もちろんやらないよりはやった方がいいです。
でもその90分のヨガクラスにおんぶに抱っこだとは思っちゃだめってこと。

 

香先生:
雑誌やネットの情報に効果がクローズアップされすぎている気もしますよね。

 

高尾先生:
そうだね。
これさえやっていれば健康になれる、痩せられる、という風に書いてあることって多いですね。

 

香先生:
悟りや瞑想も同じように取り上げられて、
ある意味情報が錯綜していますよね。

 

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高尾先生:
そうね。やっぱり雑誌やネットの情報だけに責任を求めるのではなくて、
1日24時間、1週間、1ヶ月が連なってその人の人生だからこそ、自分に責任を持ってほしい

90分のクラスにだけフォーカスするのではなくって、それ以外があなたの日常なんだよっていう
ことに気づいてほしい。

 

香先生:
そうですね。気づくことって大切ですね。
ヨガがきっかけで気付いて、体を大切にしようという気持ちとかね。

静かなくつろいだ時間が日常になくて、リラックスしてと言われても
できなかったりする人が多いから、1時間でも30分でもいいから
マインドが静かになってほわーとなる時間を持つことも重要ですよね。

いち産後のママという立場からですが、静かに横になってボーっとする時間というのが
圧倒的に欠けてて、本当にそういう時間があることはいろんな問題に対しても
大切
なんじゃないかなって思います。難しいんだけどね。

いろんな社会的な要因だとか責任とか。
でも女の人ってどのライフステージでも、いろいろありますからね。
ヨガがいいきっかけになってくれたらって思います。

 


Vol.4へ続く>>

 

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女性の様々な不調の要因の1つ”ストレス”
ヨガはこのストレスに対してアプローチし
自律神経をコントロールする
働きがあります。
 
しかしながら、週に数回、時間にして数時間のヨガクラスで
全ての不調を何とかしようとするのではなく、
自分の体、自分の日常に責任を持ち、取捨選択をしていくことも
同時に必要なことではないでしょうか。

 

プロフィール

takao_profile高尾美穂|Miho Takao

産婦人科専門医・医学博士・イーク表参道副院長・
スポーツドクター・Gyne Yoga主宰

東京慈恵会医科大学大学院修了後、慈恵医大病院 産婦人科助教、東京労災病院 女性総合外来などを経て現在イーク表参道
副院長を務める。大学病院では婦人科がん(特に卵巣がん)を専門としていた。得意分野は女性スポーツ医学、婦人科内分泌。日々、婦人科外来診療・分娩などに携わっている。

幼いころよりスキー、乗馬、ソフトボール、テニス、サーフィンなど様々なスポーツに親しむ。2003年にヨガと出会い、練習をはじめる。ケンハラクマ師に師事。
IYC アシュタンガヨガプライマリーシリーズ指導者養成修了
IYC アスリートヨガ指導者養成修了
IYCウェルエイジングヨガ特別監修を担当。
日本マタニティヨーガ協会マタニティヨーガ指導資格を持つ。

婦人科医として、手術はもちろんのこと抗がん剤、放射線療法、緩和ケアを含む終末期医療など大学病院で学び、実践してきたばりばりの『西洋医学』をベースとし、趣味が高じた『yoga』、アンチエイジング医学、漢方をはじめとした東洋医学、栄養学、スポーツ医学それぞれを総合的多角的に用い、女性がよりよく歳を重ねていけるようさまざまな角度からサポートしていくことをライフワークとしている。

 

kaori_profileサントーシマ香|Kaori Santosima

学生時代よりモデルや女優などの活動をおくり、生真面目な性格もあって心身のバランスを崩す。
試行錯誤を続ける過程で自然療法に興味を抱き、出会ったヨガに夢中になる。
2002年カリフォルニア移住後、インド古来の総合的なヨガ、
アーユルヴェーダ、ヨガニードラ、ヨガセラピーを学び、Berkeley市のスタジオYoga Mandalaにて英語でクラスを教え始める。
2008年の帰国後もアメリカやインドなどを度々訪れ、
海外のシニア・ティーチャーとの研修を積み重ねている。
数々の素晴らしい先生方との出会いと、自己練習を通じて得た気づきを生かし、自らが充足し、満ちあふれた調和のエネルギーが作為なく周囲に広まっていくような、現代人の毎日を
支援するためのツールとしてのヨガが広く役立つように情熱をもって活動している。一児の母。

著書に自宅で取り入れやすいヨガ練習を提案する「カラダが 変わる たのしい おうちヨガ」高橋書店
「サントーシマ香のムーンサイクルヨガDVD (2014)」竹書房など
NHK第一ラジオ「すっぴん!」内で「ゆる~りヨガ」(2012春~2013年3月末終了)
オハナスマイルヨガ講師養成講座、スピリットヨガ講師養成講座、ビーヨガ講師養成講座など

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