脊柱管狭窄症にヨガやピラティスは有効!

脊柱管狭窄症にヨガやピラティスは有効!ポイントはモーターコントロール

前回、この記事でご紹介させていただいたのが、

【ヨガイントラが知っておきたい!】脊柱管狭窄症ってどんな疾患?

現在60歳以上に非常に多い腰痛の原因の1つだといわれている「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」について。

運動療法を用いた、腰痛治療研究の第一人者といわれる、早稲田大学教授・整形外科医の金岡恒治先生と(株)E.M.I.の代表である本橋恵美先生をお招きし、動画でご説明を頂きました。

その時の動画はこちら

その最後に、「脊柱管狭窄症の人たちはヨガやピラティスをやった方がいい!」という私たち、ヨガ業界にとってはとても嬉しいお言葉が!

今回は、前回に引き続き、金岡先生と本橋先生のお2人から「脊柱管狭窄症と運動療法」についてお話をいただきました。

動画で視聴する方はこちら

脊柱管を広げるのがポイント!反り腰は要注意

スポーツ医学アカデミーの脊椎外科医金岡恒治先生
スポーツ医学アカデミーの脊椎外科医金岡恒治先生
脊柱管狭窄症になると、神経のトンネルが狭くなり、それが神経を触ると足のしびれや痛みが出てきます

と金岡先生。そう前回の記事にも書いた通り、この疾患は、加齢とともに、椎間板という骨の間にある軟骨成分が無くなっていってしまい、骨が変形して、段々内側に骨がせり出してきてしまうことで、起こる症状です。

スポーツ医学アカデミーの脊椎外科医金岡恒治先生
スポーツ医学アカデミーの脊椎外科医金岡恒治先生
これは、腰を反った状態だと脊柱管はより狭くなるんですね。つまり骨盤が前傾している状態だと、脊柱管は狭くなってしまいます。つまり腰の反りが少ない方が脊柱管は広がります。例えば、脊柱管狭窄症の症状の1つに間欠性跛行(かんけつせいはこう)があります。

間欠性跛行とは?

歩いていると足が痛くなって動けなくなってしまう。細切れにしか歩けない。ただし、しゃがみこんでお休みするとまた復活して歩けるようになる、という症状。

スポーツ医学アカデミーの脊椎外科医金岡恒治先生
スポーツ医学アカデミーの脊椎外科医金岡恒治先生
これは、歩く時に骨盤を前に傾けて歩いていくうちに、脊柱管が狭くなって痛くなるんですね。ただ、しゃがみこむときに背中を丸めて休むと、また歩けるようになる、ってことなんですよね。

とお話してくれました。

つまり、歩く時の姿勢がポイントだということですね。骨盤が前傾しないように歩くことで、症状が出にくくなるということです。

骨盤の傾きを正しい位置へ。ヨガやピラティスの出番!

スポーツ医学アカデミー反り腰で歩く人
しかしながら、自分の意思で骨盤の傾きを変えることが出来ない人がほとんどです。そんなときはどうすればいいのでしょうか?

ここで本橋先生が、アドバイスをくださいました。

株式会社E.M.Iの代表取締役:本橋恵美さん
株式会社E.M.Iの代表:本橋恵美先生
例えば、「座るときは背中を丸めるようにして、背もたれに背骨をつけてみましょう。」とか、立つときは「座高を長くして立つようにしてみてください」って言うと、骨盤の前後傾の違いを感じていただけるんですよね。なので、一般の人にも分かる言葉で指導しますね。

「骨盤を後傾にしてくださいね」と言っても、普通の人には通じませんよね。どんな人にもわかる言葉でお話するのが1つのポイント。

そして、金岡先生からは具体的なエクササイズについてお話が。

脊柱管狭窄症のエクササイズのポイント。「モーターコントロール」

スポーツ医学アカデミーの脊椎外科医金岡恒治先生
スポーツ医学アカデミーの脊椎外科医金岡恒治先生
ここで重要になってくるのが、『モーターコントロールエクササイズ』なんです。

と金岡先生。皆さん、モーターコントロールという言葉をご存知ですか?

モーターコントロールとは?

運動するために必要なさまざまな機構を調整する能力。つまり、ここでいうと体の位置を自分の意思で保ち、動かすことができる、という意味。

スポーツ医学アカデミーの脊椎外科医金岡恒治先生
スポーツ医学アカデミーの脊椎外科医金岡恒治先生
体を動かすのは、筋肉なんですよね。筋肉が体を動かすときに、例えば、体の全部の筋肉に一緒に力が入っちゃうと、体は動かないで固まってしまいますよね。なめらかな、しなやかな動きを起こすには、一般的には、体幹の深部筋が働いて、その後にアウターが働いて、それで良い動きができるんです。そういう風に筋肉を使う順番、それがモーターコントロールです。

と教えてくれました。

また本橋先生も

株式会社E.M.Iの代表取締役:本橋恵美さん
株式会社E.M.Iの代表:本橋恵美先生
アスリートは、コンディショニングトレーニングをするときに、インナーである腹横筋を最初に活動させるトレーニングをしているんですね。意識的に。

とおっしゃっていました。つまり、スポーツ選手が良い動きをするには、このモーターコントロールが上手く働いているかどうかが肝であるということです。そして、これは、スポーツ選手だけがトレーニングするものではなく、脊柱管狭窄症などを抱えた方も、体幹を鍛えることで、骨盤を良い位置に保つことができ、症状を改善することができるということなんですね。

モーターコントロールを上手く使うには、ヨガやピラティスが有効!

本橋恵美先生
著名なクライアントを多数持つ、本橋恵美先生

最後に、金岡先生がこのようにも話してくれました。

スポーツ医学アカデミーの脊椎外科医金岡恒治先生
スポーツ医学アカデミーの脊椎外科医金岡恒治先生
骨盤を丁度いい角度に傾けたままで歩く、というモーターコントロールができるようになるエクササイズとしては、ピラティスやヨガというのは体幹の筋肉を上手く使えるようになるような教え方をされていると思いますので、かなり良い方法だと思うんですよ。

ヨガやピラティスが習い事、趣味という領域を超え、運動療法として注目されているのには、こういう理由があるのです。

「整形外科」と聞くと、手術や投薬など、医師免許がないとできない治療を思い浮かべてしまいがち。しかし、そんな整形外科の先生方が声を上げておっしゃるのが、例え手術をしても、同じ生活をしていては、また再発をしてしまう恐れがあるということ。そして、手術を回避できる可能性があるということです。

そのためのツールとして、ヨガやピラティスはとても有効な手段なのです。ヨガジェネレーションでは2020年から「ヨガ×医療」の1つとして「スポーツ医学アカデミー」を今日ご出演頂いた、本橋恵美先生が代表を務める株式会社E.M.I.と共に開催をしています。

講師として登壇頂くのは、同じく今回ご出演頂いた、金岡先生他、6名のスーパードクターの皆さま。様々な疾患を、整形外科の先生方から教えて頂く機会は、本当に貴重な機会です。2022年も4月から開催されますので、皆様ぜひ、ご参加くださいね!

今回のお話の動画はこちらから

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