MIKIZO×山本邦子

【動画解説付き!】ヨガ動作学って何?プロトレーナー山本邦子先生に聞いた!

2020年9月から開催し、これまでに約100名を超える皆さんに受講して頂いている『ヨガ動作学基礎講座』。毎回満員御礼で人気のこの講座ですが、「動作学」という言葉、いったい何なの?という方も多いはず。

今回は、このヨガ動作学を伝えてくださっているアスレティックトレーナーの山本邦子先生に、動作学について聞いてみました!動画もありますので、お好みの方法で知っていただければと思います!

噂の動作学の真相はいかに!?

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ヨガジェネレーション代表のMIKIZOが動作学と出会ったのは、まだ半年ほど前。とはいえ、MIKIZO自身、この動作学に出会ったとき、かなりの衝撃を受けたのだそう。

MIKIZOこと酒造博明のプロフィール写真
MIKIZOこと酒造博明のプロフィール写真

僕ゴルフするじゃないですか。ナイスショットしたときは、「うん、ナイスショットね」って何も考えずにいくんですけど、球が曲がったときに、右手がこうかな、とか何回か素振りして、結局またミスをする、みたいなことよくあるんですよ。だけど、その時に、邦子ネェ(MIKIZOは邦子先生をこう呼ぶ)から、右手を使いすぎて、ミスしたんだったら一回右手から離れて、例えば下半身に意識を持つ、とか入力(情報)を変えてみると出力(結果)は変わるよ、みたいな話を聞いて、それがもう目から鱗だったみたいな!

これが、MIKIZOが動作学に興味を持ったきっかけだったようです。

多くの人は、ゴルフのボール打った時に曲がったら、スウィングをやり直して、その時の何がいけなかったかに焦点を当てる。すると、結果はずっと変わらないよって話ね。
山本邦子先生
山本邦子先生

皆さん、ヨガに置き換えてみましょう。できないポーズがあったとします。でも、できないポーズ、毎日同じことを繰り返し練習しても、中々出来るようにならない…ということありませんか?

出力(動作)を変えたければ、入力を変える

数々のプロスポーツ選手やパフォーマーの方々を見てきたプロトレーナー:山本邦子先生
数々のプロスポーツ選手やパフォーマーの方々を見てきたプロトレーナー:山本邦子先生

そもそも、人の動作というのは、様々な感覚を通じて入る入力情報を頭の中でプロセス(情報処理)した結果として、出力(動作)が起こります。そのため邦子先生はこう話してくれました。

山本邦子先生
山本邦子先生
例えば、ボールが曲がったっていうのは、体の中に入った「入力」をプロセスした結果として曲がったわけだから、ざっくり言うなら入力情報そのものを変えないことには、曲がったボールが真っすぐに行くっていう結果に変えることができないんですよ。

だから、手の力加減を変えるのも触覚的・深部感覚的入力を変えることになるし、右足の体重をかけるようにして、足の裏からの入力を変えることもそう。息を吸って、おなか全体に呼吸を入れてからやるとか、入力そのものを変えることによって、スウィングの形を変えなくても、結果は変わるよね。っていう話ですね。

同じアーサナを毎日、同じように練習していてもできるようにならない。言い方を変えれば、今日は重心を変えてみる、今日は足の幅を指1本分変えてみる。小さなことでいいので、毎日何かしら入力を変えていくうちに、結果が変わっていくということです。

ちなみにこの話を聞いたあと、MIKIZOが行ったゴルフのスコアはめちゃくちゃ良かったそう。(これ以来、動作学の話をすると、必ずこの話題が出てくる。(笑))

動作学って何?山本邦子先生に聞いてみた!

では、もっと詳しく邦子先生から動作学についてお話を聞いてみましょう。

山本邦子先生
山本邦子先生
これまで、体を見る、運動というものを良くしたいと思ったとき、うまくできていないところやうまく動いてないところ1つに焦点を当てて、それをどうするかっていうお話で展開することが多かったと思うんですね。

とここで邦子先生が、画面を共有してくれました。例えば、前屈ができていない人がいるとします。この絵を見て皆さんが見るのはどんなことを考えますか?

邦子先生がシェアしてくれた画像
皆さんにはこのおじさんが前屈ができない理由、わかりますか?

「この人、股関節が硬いんだな」
「左の足の小指が上がってないな」
「前脛骨筋(ぜんけいこつきん)、スネの前の筋肉がうまく働いてないから、きっとそこが上がっていないんだな、硬くなってるんだな」
「首の力が入っているな」
「肩も上がってるな」

というのが、今までの見方だったと邦子先生。

これに対し、例えば「首、肩の力を抜いてください」と言っても、結果はそんなに変わらなかったのではないでしょうか。

つまり、股関節が硬い、首肩の力が入っているという出力(結果)に対して、アプローチをしても結果は変わっていかないっていうのが、動作学の基本的な考え方なのです。

物の見方を変える。ミクロの視点をマクロの視点へ

噂のヨガ動作学の真相を解き明かすMIKIZO
噂のヨガ動作学の真相を解き明かすMIKIZO

まず、動作学では、物事の視点をミクロの視点からマクロの視点へと変えなければなりません。

ミクロの視点:1つのものに焦点を当てて、それにアプローチをすること
マクロの視点:1つのものではなく(部分的なことではなく)、この場合、体全体を見る。その人がその環境の中にいる1つの個体として考える。

マクロの視点でみると、この人に起こっているすべてのことがこの前屈に影響を与えているとみることができます。

つまり、前屈ができない理由も、心理的な部分、社会的な部分、生物的な部分という、大きく分けてこの3つを見ていく必要があります。体の硬い多くの人は、先生が「はい、今から前屈します、足を前に伸ばして座ってください」と言った瞬間から「無理だ」と思っている人が多いのが現実です。

「体が硬い」と周囲から言い続けられてきた人にとっては、座った瞬間から苦手意識が出て、もう前屈が深まらない。また、「男性は体が硬い」という思い込みや固定観点を子供のころから刷り込まれている可能性もあります。そうすると、社会的に男性は体が硬いものだ、ということを作ってしまっていることもあり得ます。

こういった、体の中で起こっている様々なものが、結果として前屈ができないという結果になっているため、この1つひとつにアプローチをしていくというのが、動作学の考え方のベースとなっています。

ヨガをしていて、私自身、経験としてあるのが、執着していたポーズを3日間やらなかったら、ある日いきなりできるようになったり、リストラティブヨガのような体を緩めるヨガをやった次の日に、いつもはできなかったポーズができるようになったりということがありました。あれこれ試したあとだったので、この邦子先生の話をしていてとても納得できました。

実はヨガ的!?ヨガ動作学

医療の世界では、こういったマクロの視点と呼ばれる見方のことを、「全人的な見方、ホリスティックな見方」と呼んでいます。

本来、ヨガの世界では、姉妹科学と呼ばれるアーユルヴェーダにおいても、人の体を部位や部分的に見ることはしません。肉体、感覚、精神、プラーナ、高次元の自己の間のバランスを取ることが大事だとされています。

マクロの視点というのは、ヨガの世界でずっと言われてきたものが、現代的な科学的な部分も含め、説明できるようになったということです。

ヨガの世界でも、基礎科学や基礎身体科学というのは必ず必要になってきます。解剖学的な知識や生理学の知識も必要です。しかし、ヨガそのものは実はミクロのものではなく、マクロのものとして古代から存在してきました。

そのため、指導する側はもっとマクロな視点をしっかりと取り戻す必要がある、というのが、邦子先生がこの動画でおっしゃっていたこと。

ヨガ動作学基礎講座は、現在4回の開催が終わりました。(動画は年末撮影したので、この時点では3回。)ほとんどがヨガインストラクター、ピラティスインストラクターの方々です。

私たち、ヨガジェネレーションでは、ヨガ指導者の皆さんの継続学習の場として、年間約1,000講座もの講座を開催しています。

ヨガの指導者の皆さんは、一生懸命で真面目な方が本当に多いな、と思います。だからこそ、色々なことを勉強して、勉強しているのに結果が変わらない…と悩む人も多いのではないでしょうか。なので、ヨガがマクロ的なものであることをもう一度思い出してほしいと思います。

ヨガ動作学を勉強すると指導スタンスが変わる!?

邦子先生はすごく丁寧に生徒さんと接してくれます。
邦子先生はすごく丁寧に生徒さんと接してくれます。

最後に、MIKIZOから、邦子先生に

MIKIZOこと酒造博明のプロフィール写真
MIKIZOこと酒造博明のプロフィール写真

ヨガの先生が動作学を勉強すると何が変わるの?

という質問がありました。それに対して指導のスタンスが変わると思います。との回答が。

山本邦子先生
山本邦子先生
例えば、インストラクターから見て「こうあってほしいんだけど、なっていない」という人達って沢山いらっしゃいますよね。関節の動きやO脚だったり、側弯症(そくわんしょう)だったり。今までだと、それそのものをどうにかしなきゃいけない、と思っていたと思うんですよね。

しかし、それ(出力された結果)をどうにかしたところで、入力の結果がそうなっていると考えると、「その人が過去にどういった経験をしてきて、どんな運動をしてきた結果としてそれが起こっているのか」という、その人のストーリー全体に目を向けることができます。また、一般の人は、基本的に今こうなってしまったのは自分のせいだって思っていることが多いのです。

だけど自分のせいだというよりは、今まで経験してきた選択がそれを起こしたと考えると、これから先少しでもそれを悪化させない、また良くしていくために選択肢を変えていくことによって、変化していくのかもしれないその入力を変えるという選択をできるということが、人に希望をもたらすことができると思うんですよね。こういうレベルで会話ができるようになると、多分生徒さんと、より丁寧に時間を過ごしたいと思うと同時に、そんな先生のところでもう少し続けようと、継続して通ってもらえるきっかけが増えるんじゃないかなと思いますね。

こんなところも、ヨガをしている皆さんは、とても共感できると思います。ヨガとは、本来生徒の中で起こっていることを言います。外側から、何か力を加えて変化を与えるものではありません。

少し、俯瞰して生徒さんを見ることで、今とは違うアドバイスが出来たり、長い目で生徒さんに寄り添うことができたり、するようになるのではないのでしょうか。

現在、ヨガ動作学は、新しい講座を企画中です。2021年も邦子先生と共に、新しいことがたくさんできるといいなと思っているので、皆さん楽しみにしていてくださいね!

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ヨガジェネレーション講座情報

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