
「ローラのガラパゴス旅行記」Vol,1
先日NHK「エコ大紀行」でガラパゴス諸島が取り上げられていました。来年はチャールズ・ダーウィン生誕200年らしいので、そのせいかもしれませんね。懐かしい風景を見て、涙が出そうでした。
ガラパゴスってどんなところなの?人が住めるの?見当もつかない、と人に話す度に言われます。私もたかだか10日かけて(しかも現地には7日だけの滞在)旅しただけなので偉そうに説明できるほどではないのですが、しかし、この旅は個人的に、人生を揺るがすような衝撃的な転機となりました。この素敵な旅について、少しでもシェアできればと思い、旅日記をこれから10回にわたりお届けいたします。どうぞお付き合いくださいませ。
2008年11月1日(土)
3年強勤めた会社を退職した翌日の朝、私は成田行きのリムジンバスに一人乗り込んだ。ガラパゴス諸島の旅を始めるために。
そのとき読み途中だった『イスラームの世界観』(片倉ともこ著)を、成田空港の待ち時間で読み終えた。イスラム文化における「人生=旅」の概念が紹介されており、旅立つ自分と妙にシンクロした内容で、非常に興味深く読んだ。
動くことそのものを善しとするその考えは、イスラムの人々の、生活の場を移す、お金をひとつの場所に溜め込まない、長距離の旅を気軽にする、といった生活スタイルに現れているそう。そのひとつひとつに共感した。南米に行くというのに、イスラム圏に惹かれてどうするんだ・・・と自分につっこみつつ。
イスラムの人々は、人生を楽しむことを生活の中心に据えているという印象を持った。成果を出すとか、常に上を目指すとかでなく、今あることを楽しもうとしているように。私も旅の過程を大切にし、今に集中して、余計な心配事や不安は捨てようと思って、飛行機に乗り込んだ。
今回お世話になるアメリカンエアーの機体はボーイング777だった。座席は33番と、ゾロ目尽くし。私の中でゾロ目に関してはジンクスがあって、それを見るときは必ずいいパワーが出ているというもの。つまりゾロ目はいいサインだった。6年ぶりの海外一人旅、そして初めての南米に不安はあったけど、ゾロ目を目にするたび、背中を押されたように感じた。
フライトは、往路だけで以下のとおり。
成田―ダラス(11時間)
ダラス―マイアミ(3時間)
マイアミ―グアヤキル(4時間)※グアヤキル市内で1泊
グアヤキル―ガラパゴス(1時間半)
飛行機嫌いなのによくこんなプランに乗ったものだと思う。
機内で見た映画は、日本では来年公開の『マンマ・ミーア!』。
中年女性たちのはじけっぷりがかっこ良かった。こんなやんちゃな不良熟女が世の中にいると思うと、年をとるのが楽しみになる。そしてこのあとガラパゴス諸島でそんな不良中年たちばかりに遭遇することになるとは・・・。正に旅の伏線のような映画であった。
ところで出発の前日は、私にしては珍しく夜中に何度も目が覚めた。「本当に行くの?」「そもそもなんで行くの?」という思いが駆け巡って、起きてしまうのだ。何かが私をシンプルなワクワクから阻んでいる。正体のない曖昧な不安がずっと悪い予感のようにつきまとっていた。
東京からダラスまでのフライトの中でも、「何でよりによって今、こんな遠くまで?しかも高額な旅行代金を払ってまで?」「女一人で危なくないのか?」と、この期に及んでまだ考えていた。
でも黄色いイグアナやペリカンが待っているし、またすっかり忘れていたが、いつだったか六本木のサルサバーで会ったきれいなエクアドル人。彼は本当にきれいだった。エクアドルにはきれいな人が多いのかなあ。だとしたらすごく楽しみ。と、しまいには俗物的な思いが勝ち、やっと後ろ向きな感情が断ち切れたのだった・・・。
それにしてもアメリカンエアーはすごかった。毛布は洗濯されたもののようなのだが、広げると、誰かの髪の毛、更にはお菓子の食べこぼしのようなものまでついていて汚い・・・。
オーディオは左の音が接触不良で聞こえないし、機内は空調が壊れているかのような極寒。
そんなカジュアル(?)な機内で、私もかなりカジュアルだった。朝からすっぴん、ジーパンにスニーカー、そしてユニクロのフリースだし。とりあえず日焼け止めだけきっちり塗っておけばいいや、くらいの気持ちでいた。化粧をするイコール、クレンジングをするということ。オイルクレンジングを流したりしたら、上下水処理がままならないガラパゴスを汚すことになるし、荷物も増えるばかりだから。
そうこうしているうちにダラスに着いた。現地時間は同日の午前9:30。ここでもう充分具合が悪くなってしまっていた。私は飛行機がとことん合わない体質のようで、飛行機の中ではお腹が張ってしまってろくに食べられないし、ちゃんと眠れない。
次のフライト、ダラス―マイアミ間はひたすら目を瞑って耐えた。もう日本では夜も明ける頃。完徹に近いし、その上あまり食べていない。当然機嫌も悪い。
そんな中マイアミに着くと、ダラスに比べてかなり人も空港もゆる?い雰囲気。既に聞こえてくる言葉の半分がスペイン語だ。ここまででテンションはひたすら下降しており、もう全てがどうでもいいと思えるくらいだった。最終目的地のガラパゴスすら色あせて感じられたほど。
ところが、ゲートであくびをしながら次のフライトを待っていたら、どこからかふと、バチャータのメロディーが聴こえてくる。誰かの携帯の着メロだったのだけど、それを聴いて、一気にテンションが上がってしまった。おお、ラテンのリズム!サルサ好きの私にはたまらない。踊りたい!
こういう音楽が日常の一部になっている地域に行くんだ、とこのとき初めて実感した。そして、途端にエネルギーが湧いて来た。グアヤキルやガラパゴスではもしかしたらあちこちからサルサやバチャータが聞こえてくるかもしれない。自然以外にも思いがけず大好きなものがあったことですっかり機嫌が良くなってしまった。
それからこの日最後のフライト。マイアミからエクアドルの商業都市、グアヤキルへ。このときもアメリカンエアーは引き続き冷蔵庫のようで、お腹の調子も変わらず悪いし、苦行のよう。ぐったりして人生初の南米大陸に到着した。成田を出発してから、グアヤキルの空港を出るまでに、きっちり24時間かかった。遠かった・・・。
グアヤキルの空港では、今回の旅の諸々をお願いしたツアー会社、Japan Toursの方が送迎にきてくれていた。鳥居さんという癒し系のその方は、エクアドル生まれの日本人。事前にメールや電話でやりとりがあったので、初対面なのにほっとした。その日泊まる市内のホテルまで、車で送ってもらう。
ホテルに着くと、慣れないチップに慣れないスペイン語に慣れないトイレ・・・。
(南米仕様なので、使ったトイレットペーパーは流さず、脇のゴミ箱に捨てるのです)
でも部屋番号は111号室。ゾロ目が続くな、本当に。と嬉しく思いつつ、ベッドに入ってすぐ眠りに落ちた。
明日はいよいよガラパゴス!
文・岩本ローラ
<< 次の記事 >>






















